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Be Social
私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。
第5回 波那本(はなもと) 豊さん
「バリアと向き合い続ける」
吹田のバリアフリー・交通アクセスを目指す会
障がい者・高齢者など誰もが安心・安全に暮らせるまちづくりをめざし、駅や歩道・施設などのバリアフリー調査や、市民向けにバリアフリー意識向上の啓発等に取り組んでいる。
問い合わせ先:東御旅町2-33-2
福祉情報センター・共働事業所b-free内
TEL:06-4860-5850
活動を始めたきっかけ
~日常で感じるバリア~
車いすを使って生活していると、スロープの勾配、エレベーターのボタンの高さなどの物理的なバリアを、様々な場所で感じます。
そこで、自分たちが住んでいる吹田のまちがバリアフリーになる活動をしようという話になったことが始まりです。
これまでの活動を振り返って
~バリアをなくす難しさ~
バリアフリー調査をし、行政や事業者に提案をしています。
ただし、回答まで長くて半年以上かかる上に、通らなかったことがほとんどです。
提案が通ったとしても、理想と違ったり、また別のバリアを生んでしまうこともあります。
時には否定的な意見を言われることもあり、やめておいた方がよかったと思うことも多いです。
これからについて
~生活の一部として~
社会に何かを伝えていかないといけないという意識で活動すると、しんどくなって続けていけなくなってしまいます。
だからと言って、楽しいから続けていることでもなく、日常生活の中で、向かってくるバリアは乗り越えたいという感覚なんです。
自分が納得できるまで活動を続けていきたいと思っています。
ここに注目!ラコルタの特集
地域自治の未来
~自治会に求められる変化とは~
自治会とは、一定の区域内に住む人々が、より良い環境・充実した生活が営まれるようにお互いに協力し合い、運営している任意の自治組織です(「吹田市自治会ハンドブック」より)。
吹田市内では、現在、575の単一自治会、34の地区連合自治会(概ね小学校区単位)が組織されています。
吹田市では、「(仮称)吹田市地域委員会研究会」の議論の中で、自治会加入率の減少に歯止めがかからず、このままでは地域力の低下が懸念されることから、“すいたの地域自治のあり方検討意見集”をまとめ、「吹田市市民自治推進委員会」に具体的な方策を引き継ぐことになりました。
本号では、自治会の現状や他市の事例をもとに、地域自治の未来について考えるきっかけにしたいと思います。
進む自治会離れと高まる期待
1986年に78.1%あった単一自治会の加入率は、2016年には51.6%まで減少しており、今後も毎年約1%の減少が進んでいくと推計されています。
また、高い地域では85%を超えていますが、低い地域では20%を下回るという地域差も生じています。
(「すいたの地域自治のあり方検討意見集」より)
それに伴い、活動の担い手や役員のなり手が不足し、活動の停滞やマンネリ化、役員の負担増加へと繋がる悪循環が各地域で起きているのです。
市としては、転入世帯などへ自治会の加入促進を図り、加入世帯増加を目標におき、少子高齢化に伴う新たな課題や、災害時における住民の安否確認など、様々な課題解決のための「協働のパートナー」として、自治会の役割に期待を寄せています。
図:〈自治会未加入の理由〉
市政モニタリング調査(2016年度)より
・仕事が忙しく会議や行事などに参加できない、29.1%
・役員を引き受けたくない、24.7%
・加入するメリットがない、24.5%
・加入の仕方がわからない、19.4%
・自分の住んでいる地域には自治会そのものがない、18.9%
・近所付き合いをしたくない、7.4%
・自治会費などが高い、4.8%
・その他/無回答、22.4%
このような現状を踏まえ、吹田市市民自治推進委員会では、これからの地域自治の具体的な方策について今年6月から検討を進めています。
同委員会の坂本治也委員長にお話を伺いました。
「生活を保障する基盤として」
日常生活を守ってくれるものとして、行政、企業、家族の存在が大きな役割を果たしてきたと思います。
ただ、公共サービスの縮減や、労働環境の悪化、家族関係の変化など、それらに期待される役割像が時代とともに変容しています。
そして、それら3つの存在以外の領域として、自治会などの地域活動があり、日常生活を保障する新たな基盤として重視されているのではないでしょうか。
「自発的な参加を得るには」
自治会の加入率低下は、伝統や習慣に縛られない人が増えた結果であって、地域社会での関わりを持ちたい人がいなくなったわけではないと思います。
しかし、多くの市民にとっては、自治会などの地域活動は遠い存在で、時間があっても積極的に関わろうとしないのが現実です。
自由に、楽しく、無理せず。そういった活動にしないと市民の共感や自発的な参加は得られません。
そのためには、既存の地域活動の見直しなども必要となってくるのではないでしょうか。
「色んな人が関わる場を」
地域の自治力を向上させるためには、NPOや企業などを含めた地域ネットワークの構築が必須だと思っています。
そのためには、色んな人が地域のことを考える場をつくっていく必要があります。
ただ、ダイレクトに地域の課題を考えるとなると、関心のある人しか来ないので、吹田市や地域の魅力を活用するなどの仕掛けや、何らかのインセンティブ(動機、刺激)が必要になってくると思います。
写真:坂本治也さん
プロフィール:第6期 吹田市市民自治推進委員会 委員長。
関西大学法学部教授。
近著に坂本治也編『市民社会論ー理論と実証の最前線』
法律文化社。
既存の枠組みに捉われない 活動事例
今年3月に「(仮称)吹田市地域委員会研究会」の報告の場として講演会が開催されました。
参加者のアンケートをみると、現在の吹田の地域自治について「変わった方がよい」と答えた人の割合が68%を占めていました。
地域の自治力を向上させるためには、変化していくことが求められているのかもしれません。
“若者が考える面白いまち!”
スーパー町内会活動(大阪市)
30~40代の若い世代が中心となって、これからの町内会活動を“大喜利形式”で考えるというユニークな取り組みがあります。
発起人は、劇作家の岸井大輔さん(写真:中央)、コワーキングスペース主宰の梅山晃佑さん(写真:右)、広告企画会社代表の藤田ツキトさん(写真:左)。
何か面白いことをはじめようと話している中で、3人が注目したのが「町内会」でした。
メンバーの1人である藤田さんは、「会費を払うからには何かしないともったいない」と思い、積極的に地域の行事へ参加していました。
そこで、入会するだけで地域コミュニティと繋がることができる町内会の仕組みを活かし、もっと若い人も参加できる仕組みに変えていくため、既存の町内会を進化させるイメージで
「スーパー町内会活動」と名付け、大喜利イベントで各地域を回っています。
参加型で進める大喜利では「スーパー町内会ってどんな町内会?」というお題に対して回答し合います。
「会長がネコ」や「イマジンで盆踊り」など、面白い回答が飛び交う中で、実際の活動につながるアイデアが生まれることも。
若い世代の人たちが、遊び感覚で意見を出しながら、自分たちのまちについて考えるきっかけとなっています。
“地域の困りごとは地域で解決!”
菅原東校区の取り組み(枚方市)
「地域が本当に必要とする活動ができているのか?」という問いをたて、菅原東校区コミュニティ協議会では、地域住民に「これからの地域活動に何を求めますか?」というアンケートを実施しました。
出された意見・要望に対して、既存の事業で対応できるものと新たに取り組むものとを整理しました。
その結果、誰もが集える「常設サロン」の立ち上げと、高齢者の送迎活動に取り組むことになりました。
「常設サロン」の安定した運営を考えた時、協議会の体制では役員が数年で入れ替わってしまうことや、寄付金・自主事業収入などの財源確保を考え、NPO法人すがはらひがし を設立しました。
サロンという拠点ができたことは、地域行事に参加しなかった方や、自治会に入っていない方にも、地域活動を知るきっかけづくりとなりました。
昨年には、子育て世代が中心となった部会も誕生しました。自分の子どもが参加するイベントを、地域住民が行っていると知り、親たちから活動したいという声が上がったそうです。
地域が困っていること、必要とする活動を、地域のみんなで実現していく、そんな取り組みが始まっています。
THEピックアップ
ラコルタの取り組みを紹介!
講演会
「社会起業家として生きる」
開催日:5月27日(土)
認定NPO法人Homedoor 理事長の川口加奈さんは、14歳でホームレス問題と出会い、19歳に同団体を設立。
ホームレス状態を生み出さない日本をつくることを使命とし、就労支援などのソーシャルビジネスに取り組んでいます。
社会に良さそうなことをしたいのではなく、「社会を変えたい」という川口さんの強い意志から、社会起業家としての覚悟を感じました。
参加者の半数を占めた若い世代が、社会課題を知り、「社会を変えたい」と思うきっかけづくりの場となりました。
写真:参加者の半数が10代~40代!
地域諸団体向け会計講座
開催日:6月11日(日)
NPO法人市民ネットすいた、の片岡誠さんを講師に招き、会計事務の基本や、領収書の整理の仕方をワークを通して学びました。
質疑応答では、会計についてはもちろん、運営全般に関わる内容や、行政や自治会員とのコミュニケーションについての相談もありました。
参加者同士で似た境遇の方もおられ、共感し合ったり、解決策を考え合う場面もありました。
高齢化や担い手不足をはじめ、それぞれの現状を踏まえて、どのように運営していくのかを考え合う機会になりました。
写真:様々な地域からご参加いただきました
〈テーマカフェ〉
大人の発達障害について
開催日:6月20日(火)
「発達凸凹(でこぼこ)の凸(でこ)を活かして未来を描こう!」をテーマに、ゲストから団体の活動や発達障害の特性について、自身の経験や感想を交え解説していただいた後、複数のグループに分かれて感想を共有しました。
参加者からは、「凸凹(でこぼこ)は誰にでもある。
障害のあるなしに関わらず、苦手なことをさりげなくサポートし合える社会になるといい」などの感想が寄せられ、さまざまな視点から大人の発達障害について考える貴重な機会となりました。
写真:ゲストの LASS to the dream
〈夏休みのテーマカフェ〉
しぎかい見学会
開催日:8月4日(金)
35名の小学生が参加しました!
「議員に直接質問をしたり、議場に入れて楽しかった」という感想がとても多かった市議会見学会。
市議会議員にご協力いただき、どんな人が議員になれるの?他にも仕事はできるの?議員になったきっかけは?などの疑問についてたくさん教えてもらいました。
議場見学では、大人気な議長席をはじめ様々な場所で記念撮影。
参加者からは、市議会について「イメージが変わった」「私達の暮らしを良くしてくれているんだなと思った」との声もあり、政治の仕組みやまちのことに関心を持ってもらう機会になりました。
写真:議長席で写真をパチリ♪
写真:自分がやってみたいことを発表!
編集ノート
Be Socialの取材で、自分たちから提案をしたことで改善された、ある施設の設備について聞きました。
しかし伺って初めて知る裏話…!私にとっては当たり前でも、別の人にとっては不便かもしれない。
自分の当たり前を問い、見えない誰かを想像することも、社会貢献の一歩なのかもしれません。(矢野)