本ページでは、ニュースレターの文字情報だけを掲載しております。
また、ニュースレターに掲載されているイベント情報は、本サイトの最新情報からご確認ください。
Be Social
私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。
第28回 石本 美由紀さん
「世代を超えた交流の場へ」
JOCA大阪 スタッフ
香川県出身、大学入学を期に吹田市へ。
正雀にある長屋を改装した「JOCA(ジョカ)大阪」は、青年海外協力隊のOB・OGによる組織が運営するフリースペース。
子育てを終え、2019年からスタッフとして従事。
公益社団法人青年海外協力協会(JOCA)
ゆるい気配り
子どもからお年寄りまで幅広い世代が利用しているJOCA大阪では、利用者の話し相手や見守りを担当しています。
また、居場所にはゆるくですが、細かな気配りが大事だと思っており、喋りかけてほしそうな人や、一人でポツンといる子どもがいると声を掛けながら、利用者の様子を気にかけています。
仕事をするきっかけ
大学でサークル仲間だったJOCA大阪の前代表から、私の性格に合っていると誘われました。
学生時代から飲み会の盛り上げ役だったので、にぎやかしとして声をかけてもらったんだと思います。
また、下町の雰囲気が残る正雀に来たときに、近所付き合いが盛んだった地元を思い出したことも、きっかけとなりました。
地域で見守っていく
ここに来ている子どもたちが成長したときに、地域を見守る存在になってくれるのが理想です。
今は、世代間の関係が希薄になっていますが、JOCA大阪がその繋がりのきっかけになれば、地域に愛着が湧き、自然と地域での見守りが育つと思います。
そのために、いつでもふらっと来ることができるように開いている居場所の役割は大切だと思っています。
ここに注目!ラコルタの特集
共同住宅におけるコミュニティづくり
吹田市は、日本で初めての大規模ニュータウンとして開発された千里ニュータウンをはじめ、市内全体の75.2%(2020年国勢調査)の世帯が、マンションやアパートなどの共同住宅で暮らしています。
また、建築時期をみると、全体の23.5%(2018年住宅・土地統計調査)が、1980年以前に建てられており、建物の老朽化や住民の高齢化が進んでいる現状です。
住みやすさには、建替えや改修によるハード面の整備はもちろんですが、住民同士のつながりや、コミュニティの形成といったソフト面の充実が必要であり、それにより防災や福祉の課題解決につなげていくことも期待できます。
しかし、コミュニティづくりを担う自治会組織は、吹田市全体でも加入率が50%を下回っており、「同じ住宅内に誰が住んでいるのか知らない」といったことも少なくありません。
コロナ禍以降、孤独・孤立といった問題が深刻な社会課題とされている中で、本特集では、共同住宅で取り組まれているコミュニティづくりの事例を取り上げました。
あらためてコミュニティの価値と役割について、考えるきっかけにしたいと思います。
役割と稼ぎが循環する住民自治へ
NPO法人SEIN 代表理事 湯川 まゆみ
大阪府住宅供給公社(以下、公社)が管理している「茶山台団地」(28棟930戸)は、1971年に入居を開始しました。
当時は、若い世代も多く賑わいを見せていましたが、空き家が目立ち、65歳以上の高齢者世帯が半数近くに達しました。
私自身もこの団地で生まれ育ち、現在も子育てをしながら生活しています。
一方で、泉北ニュータウンのエリアマネジメントや地域づくりに取り組むNPO法人を運営していたことから、2016年より公社が行う団地再生プロジェクトにコーディネーターとして参画することになりました。
対話を通して住民のニーズに寄り添いながら、公社やその他パートナーの皆さんとの関係を築いていく役割です。
団地再生の取り組みとしてまず始めたのが、集会所を活用した交流拠点“茶山台としょかん”です。
多世代の住民が集まる居場所となる中で「スーパーがなくなり不便」や、「一人でご飯を寂しく食べている」といった声が聞かれるようになりました。
そこで、住民対象のアンケート調査を実施し、ニーズを確認。
その結果から、“丘の上の惣菜屋さん やまわけキッチン”という取り組みも生まれ、店舗づくりのリノベーションでは、24日間のべ181人の住民がDIYに参加しました。
どちらも住民主体で運営していますが、全てを無償のボランティアで担うのではなく、一部の役割については有償で活動してもらう仕組みにしています。
コミュニティや助け合いが大事だとわかっていても、全ての人が必要性を感じているわけではなく、時間とお金に余裕があるわけでもありません。
ボランタリーな気持ちだけで活動を継続していくのが難しい中、地域の中で小さな仕事を生み出していくことで、新しい住民自治のモデルづくりにチャレンジしています。
<参考:団地再生プロジェクト相関図>
住民(まちづくりの担い手)と、公社(管理者)と、SEIN(コーディネーター)が協働で、茶山台としょかんや、やまわけキッチンに取り組む。
※湯川まゆみさんのプロフィール:
学生時代に参加した国際ボランティアをきっかけに、24歳で「SEIN」を発足。
コミュニティカフェや堺市市民活動コーナーの運営を経て現在に至る。
事例① 「防災」でつながりを再建!
吹田市 東山田 メゾン5自主防災の会
建築年:1979年 総戸数:238戸
「メゾン千里丘5番街」は、緑に覆われた閑静な住環境となっています。
建設当時は、40代の入居者が多く、住民同士のつながりよりもプライベートを大事にする傾向が強かったようです。
しかし、相次ぐ自然災害や住民の高齢化に伴い、災害時に助け合える関係づくりが喫緊の課題となってきました。
また、2009年に自主防災組織が発足されていたものの、休眠状態となっていました。
そこで、自治会役員の他、有志の住民19名が中心となり、2022年9月に自治会の専門部会として自主防災組織の再発足へと至ったのです。
再発足にあたっては、趣旨や経緯の説明と、防災講座をセットにした住民向けの説明会を開催。吹田市の危機管理室や、防災士といった専門家を講師に招き、全4回延べ100名の方が参加されました。
会長の井上忠一さんは、「住民一人ひとりの自助活動が防災力として一体化し、大きな力になることを期待しています」と語ります。
活動再開から1年にも満たない中ですが、備蓄品・資機材の展示会や安否確認訓練など、住民の防災意識向上に向けた取り組みが展開されています。
写真:説明会の開催にあたっては、防災士とのマッチングや、講師として職員が出向くなど、ラコルタも活動を応援。
事例② コミュニティで支え合う
大阪市 北区 ローレルハイツ北天満自治会
建築年:1979年 総戸数:1342戸
JR天満駅から歩いて5分、団塊世代が多く暮らす「ローレルハイツ北天満」では、多世代で支え合う取り組みが進んでいます。
例えば、高齢者の単身世帯を対象にした「ふれあいネットワーク」では、住居内に配備された内線電話を活用し、安否確認の連絡を毎朝行っています。
その他にも、認知症予防教室や配食サービスといった高齢者の課題解決に向けた活動が展開されています。
また、毎年こどもの日には、14階建ての屋上から鯉のぼりを掲げ、地域のちょっとした名物にもなっています。
最近では、親子二代にわたって住み続ける人も増え、鯉のぼりを見て育った子どもが、この活動を引き継いでいます。
こうした取り組みの背景には、40年以上にわたって継続している活発な自治会活動がありました。
バスツアーやお祭りといった季節毎の行事をはじめ、編み物や踊りといった倶楽部活動など、マンション内における交流の場が日常の中に溢れています。
長年活動に関わってきた副会長の大西加津子さんは、「みんな仲が良く、思いやりのある人が多い」と語ります。
世代を超えて顔の見える関係が築かれてきたからこそ、生活の課題に寄り添った活動が生まれているのかもしれません。
THEピックアップ
ラコルタの取り組みを紹介!
みんなのSUITADAY 2023
開催日:3月19日(日)
「みんなのSUITA DAY」は、まちづくりや市民公益活動の魅力に触れる市民参加型のイベントです。
2回目の開催となった今回は、南千里駅前の「まるたす広場」へと会場を拡げ、“居心地の良い空間づくり”をコンセプトに、モバイルこたつを設置しました。
天候にも恵まれ、こたつに入ってくつろぐ人や、カードゲームで遊ぶ子どもたちの姿が見られ、普段の広場とは違った雰囲気を演出することができました。
また、公募で集まった市民公益活動団体からは、ステージの発表や模擬店、相談コーナーなどの参加があり、各会場でイベントを盛り上げてくれました。
写真:まるたす広場 こたつでほっこり!
写真:千里ニュータウンプラザ2階 ワークで楽しく♪
テーマカフェ 吹田のまちなみ100年紀行
開催日:4月23日(日)
はじめに、明治から昭和にかけての写真と現在の写真をもとに吹田のまちなみの変化について、ラコルタの職員から紹介をしました。
その後、参加者も交えながら市内の好きな場所やお勧めのスポットを紹介し、語り合いました。
参加者からは、「吹田の歴史や景観スポットを知ることが出来た」「小さい頃が思い出されて懐かしかった」という声があがっていました。
自分たちの住むまちの魅力を再発見していただく良い機会になったのではと思います。
写真:昨年好評だったことから2回目の開催です!
編集ノート
1月から新しくスタッフになった守谷です。
特集面の取材に同行しました。
様々な人々が暮らす共同住宅で意見をまとめるには「日頃の挨拶や声がけが大切」と皆さん仰います。
コロナ禍や災害で大変な時に成果を発揮した多くの事例は、こういう基本的な人と人とのつながりにあることを再確認しました。(守谷)