ニュースレター(HTML)

ニュースレター第26号(HTML版)2019年3月1日発行

本ページでは、ニュースレターの文字情報だけを掲載しております。
また、ニュースレターに掲載されているイベント情報は、本サイトの最新情報からご確認ください。

Be Social

私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。

第11回 湯井ぬくい恵美子さん
「障がい児の親だから気づいた“福祉防災”」

(一社) 福祉防災コミュニティ協会 認定コーチ
知的障がいを持つ子どもの母。
福祉施設での防災計画作成の推進や、職員の災害対応力の向上をめざし、講演活動などを行っている。
防災士。

(一社) 福祉防災コミュニティ協会

子どもを守りたい

特別支援学校のPTA研修で「今地震が起きて、お子さんの元に帰れなくなっても、不安はありませんか?」と講師に問いかけられました。
そこで非常時に備え、わが子の障がいの特性などをまとめた「SOSファイル」(※)が紹介され、吹田市版を作ろうと決意しました。
約1年後、学校や保護者などの協力を得て完成しました。
(※)SOSファイルとは・・・
事故・災害などの緊急時を想定し、子どもの障がいの特性や生活に関する情報などをまとめ、適切な支援を受けるための個人情報ファイル。
「大阪府立吹田支援学校」)のホームページからダウンロードできます。
どなたでも自由にご活用ください。

自立に向けて

このファイルは、実家や近所の方にも預けておくことが理想です。
個人情報だからこそ、子どもの暮らしに関する情報を、正確に伝えられます。
伝える手段があれば、災害時に限らず、親がいなくなってしまっても、子どもは周囲の人に力を借りながら生きていくことができます。

防災に福祉の視点を

わが子や障がい児を守りたいという一心で「SOSファイル」を作りましたが、それをきっかけに福祉防災について学び始めました。
現在は、福祉避難所に限らず、福祉的な配慮のある地域の避難所を増やしたいと考えています。
また、4月からは大学の博士課程に進みます。
これまでの実践を基に、福祉防災の研究を深めていきたいです。

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ここに注目!ラコルタの特集
吹田の環境を未来へつなぐ
~ひとのつながりと多様な取り組みから考える~

国連で2015年に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」では、貧困の撲滅や平和の促進など持続可能な世界を実現するための17の目標が設定されていますが、そのうち、水やエネルギー、気候変動といった環境に関連するものは12にものぼります。
ある民間の調査によると、吹田市は経済発展と環境保全を両立させたサステナブル(持続可能)度が全国的にも高いと言われています(※1)。
大阪府全域で見ても、みどり豊かな都市環境を創造しており、市民主体の多様な環境保全活動が、その一環を支えています。
本号では、吹田市内の環境保全につながる活動と、それに携わる人の思いを紹介しながら、私たちの生活と環境との関わりについて考え、誰もが安心して住みつづけられるまちづくりの可能性を探りたいと思います。
(※1)日本経済新聞社が2011年に実施した「環境保全度」、「経済豊かさ度」、「社会安定度」の3つの側面から都市のサステナブル度を測る調査を実施した。
有効回答のあった630市のうち、吹田市は6位。

自然

「多様なみどり」を地域のつながりで次世代へ

国立循環器病研究センターの北側に広がる千里第2緑地。
冬の晴れた日に歩くと(※2)柔らかな陽の光が差し込み、足もとには冬イチゴの赤い実が見つかります。
竹林とアカマツ林のほか、コナラやカシなどの雑木林から成るこの緑地帯は、特定非営利活動法人すいた環境学習協会が吹田市から委託を受け、15年以上にわたって保全活動を続けてきました。

中心メンバーの前川光宏さんは、東京生まれ。会社員時代には転勤や単身赴任を経験し「仮の住処と思っていた吹田が、終の住処になってしまった」と笑います。
「例えば仙台は杜の都と呼ばれているけど、実は吹田も緑地や公園、大学の敷地など多様なみどりに恵まれている。
これは大切にしていきたいなと」。

そのことから、すいたシニア環境大学で環境保全を学んだ仲間と共に、当時、手入れがされず荒れ放題だった竹林の整備を始めました。
その積み重ねは、みどり豊かなまちづくりに貢献するものとして、2017年には国土交通大臣賞を受けました。

定年退職を迎えたとき、自分が地域のネットワークを持っていないことに愕然としたという前川さん。
この活動は、さまざまなキャリアや人生経験を重ねたメンバーと一緒に、身体を動かし楽しみながら地域貢献できることが大きな喜びだそうです。

ゆくゆくは遊歩道などを整え、豊かなみどりに市民が気軽に親しみ、交流できる公園のような場所にすることが前川さんの夢だとか。
「元気なうちにぜひ実現したいもんだね」。
(※2)千里第2緑地への普段の無断立ち入りはできません。
特定非営利活動法人 すいた環境学習協会(SELF)

エネルギー発電

「まちの発電所」でエネルギーを地産地消し災害に強い吹田に

障がいを持つ人たちの働く場として、また自然食品や手芸品の販売店として地域の人々に親しまれている南高浜町の「ぷくぷくショップ」。
店の広い屋根の上では太陽光発電パネルが稼働し、電気を生み出しています。
この設備は特定非営利活動法人すいた市民環境会議が主体となり、ショップを運営するぷくぷく福祉会の協力のもと市民共同発電所プロジェクトとして2017年に設置したもの。
工事にあたっては大阪府の補助金も後押しとなりましたが、費用の半分以上は市民からの寄付や出資金でまかなわれました。

実はこの共同プロジェクトは、パネルを設置してからが本番です。
5年間は関係者が連携し学習会や啓発イベントに取り組むほか、設置後10年間の発電量相当額が新たな共同発電所設置への資金となるのです。
「『まちの発電所』が増えれば、災害時には非常用電源として地域を支えることができる。
輸入に頼る石油ではなく、再生可能な自然エネルギーの設備を設置・運営することで、地域のお金を地域で回していくことにもつながります」と代表の小田忠文さん。

小田さんが環境問題に関心を持ち始めたのは、約35年前。仕事の都合でしばらく離れていたふるさとの吹田に戻ると、ニュータウン開発や万博開催を経てすっかり様変わりしたまちの風景がありました。
「3.11の原発事故のあと故郷に戻れない人が未だ多い現実を見ても、これまでの『当たり前』を変えていく必要性を感じています。
未来に残したいのは『エネルギー自給自足のまち、吹田』ですね」。
写真:店の屋根の発電パネル
写真:発電の状態がモニターで分かる
特定非営利活動法人 すいた市民環境会議

子育て

「自然」と共生する青空ようちえん

森の子教室は、1998年に誕生した青空ようちえんです。
園舎を持たず、阪急山田駅から徒歩10分程にある津雲公園で活動をしています。
津雲公園は、自然の丘陵がそのまま残され、雑木林や雨水を利用したせせらぎなどがある自然豊かな公園です。
主宰の田畑祐子さんは「自然遊びが目的ではなく、子どもの心や知恵、身体の成長に自然という環境が適している」と語ります。
大人が用意した快適な環境ではなく、日々変化する自然の中で、子どもたちの主体性を大切にしながら活動を続けています。

また、OBや保護者が中心となって立ち上げたNPO法人にちにちの森では、津雲公園の自然を守る活動を行っています。
森の子教室がはじまった20年前に比べると、山肌が削れ、雑草ばかりの荒れ地が増えてきました。
特に、昨今の自然災害で多くの木が倒れてしまいました。
いろいろな人が利用する公園なので、安全性が最優先されます。
「元の姿に戻したい」と思いつつも、自分たちの思いだけで手入れをするのではなく、自然や地域の人たちと共生しながら、津雲公園の森を残していきたいと考えています。
森の子教室

まちづくり

「企業市民」として、次世代につなぐまちづくりを

神崎川流域の環境改善や地域活性化、そして吹田市内の神崎川沿いに立地する企業間の情報交換・交流促進を目標とし、2002年に神崎川畔企業連絡会が設立されました。
先ず取り組まれたのは、河畔を活かし、こうした環境を次世代に引き継ぎ、活性化するための「神崎川畔将来ビジョン~地域と企業の共生をめざして~」の策定です。
そこには、川の自然や歴史を活かし、人が集まり、行政・住民・企業が一体となってまちづくりに取り組むことを明解に謳っています。

このビジョンに基づいて、河川の改修整備や水質浄化だけでなく、周辺企業や市民が連携して川に親しみ、川を汚さず、守っていく活動が生まれました。
「神崎川畔春まつり」では、榎木橋をメイン会場に高浜橋までの4kmを歩くスタンプウォークに多くの市民が参加し、秋には各企業の従業員を中心に自治会や行政も参加する「神崎川畔クリーンアップ作戦」(参加者約300人)を実施しています。

「企業は経済面で地域を支えるだけでなく、人が暮らし続けるための環境づくりに貢献することも大切な役割ととらえています」と連絡会会長の河内幸枝さん(マロニー株式会社会長)の言葉から、企業市民としての志と誇りを感じました。
神崎川畔企業連絡会

【環境先進国、ドイツ】の取り組み

環境保全活動は結果が見えるまでに時間がかかることが多くあります。
地域の中で取り組みを継続していくために、どのような工夫ができるでしょうか?
環境先進国と言われるドイツの事例をエコネット近畿
・事務局長の辻郁子さんにうかがいました。

「まち」と「人」を育て続ける
(ドイツを視察して)

ドイツでは、環境保全の取り組みが生活の一部として根付いています。その一例をご紹介します。

参加のきっかけが身近にある

まちなかにある「環境情報センター」はアクセスの良い場所にあり、住民に家庭用ごみ袋を配布するだけでなく、ワークショップやイベントなどの情報を気軽に入手することができます。

地道な努力が活動をつなぐ

代表的な環境NPOのひとつNABU(ドイツ自然保護連盟)が大切にしているのは、地道なコミュニケーション。
自分たちの活動が地域に対してどんな意味を持つのか、常に意識しながら発信しています。
また、会員の活動への参加のモチベーションを保つために、誕生日やクリスマスを一緒に祝うなど、感謝の気持ちを伝え合う工夫を欠かしません。

環境先進国の土台を成すのは、まちと人を長い目で育む、参加の仕組みと言えそうです。
写真:NABUの活動拠点
エコネット近畿

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THEピックアップ
ラコルタの取り組みを紹介!

トラブルを起こさないための
地域諸団体向け 団体運営講座

開催日:12月1日(土)
NPO法人市民ネットすいた事務局長の片岡誠さんを講師にお招きし、組織運営・会計管理・個人情報の3点について、講義をしていただきました。
後半の質疑応答では、「災害に備えて要支援者情報の取扱いをどのようにすれば良いのか?」、「繰越金は収入の何パーセントが適正なのか?」など、様々な質問が寄せられました。
吹田市内の自治会など、17団体20名が参加され、これからの運営について考える貴重な機会となりました。
写真:皆さん熱心に受講されていました

基礎編・実践編の連続開催
「はじめてのクラウドファンディング講座」

開催日:11月30日(金)・12月7日(金)
クラウドファンディングの基礎知識や、支援を集めるためのコツ・ポイントを学びました。
講師は、office musubime代表の河合将生さん。
プロジェクトを公開すれば、自然に寄付が集まりそうですが、実は開始前の事前準備が大切です。
最後には、参加者から実際に予定しているプロジェクトを発表してもらい、全員でアイデアを出し合いました。
「まず自団体の寄付の受入体制を見直そうと思った」との感想もあり、NPOにおける資金調達について考える機会となりました。
(実行委員 森戸)
写真:のべ40名が参加されました 
写真:実行委員・ラコルタサポーターの皆さん

ボランティアをしたい人と市民公益活動のマッチング
歳末ボランティアフェア

開催日:12月15日(土)
 自分にできるボランティア活動に出会う、をコンセプトに開催されました。
子育て、福祉、環境、国際交流などブース出展13団体、情報掲示10団体でした。
各団体の展示は、わかりやすく工夫されていました。
今回は、昨年9月に実行委員会を設置し、来場者第一を考えて、受付係、案内係、相談コーナーなどのアイデアを採用。
のべ70名が来られ、関心の高さを実感しました。
人生100年にむけて、みんなが笑顔になる「つながりづくり」をめざして、さらに頑張っていこうと思います。
写真:オープンな雰囲気が好評でした

編集ノート

昨年は、大阪北部地震、台風21号と自然災害の恐ろしさを痛感しました。
今号は災害時の備えや未来につなげる環境を取り上げましたが、「防災」と「環境」は、持続可能な社会づくりの大切な観点です。
未来を創造し、人と人、人と社会のつながりを考えるきっかけとしていただければと思います。
(柳瀨)

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