ニュースレター(HTML)

ニュースレター第49号(HTML版)2024年12月1日発行

本ページでは、ニュースレターの文字情報だけを掲載しております。
また、ニュースレターに掲載されているイベント情報は、本サイトの最新情報からご確認ください。

Be Social

私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。

第34回 畑 知子さん
付き添い入院の家族を応援したい

おうちごはん grin 代表

吹田市竹見台生まれ。弁当屋「おうちごはんgrin(ぐりん)」を山田東で経営。
小児病棟で付き添い入院をする家族に、手作りのお弁当を安価で届けている。

ママ友のチャーハン

長男が生後10カ月で入院し、長期に渡り24時間の付き添いを余儀なくされました。
睡眠や食事も十分にとれず、心身共に疲れていた時、ママ友が手作りのチャーハンを病室に持って来てくれました。
「自分の事を心配してくれる人がいる」ということが嬉しくて、泣きながら食べたことが、活動の原点です。

同じ境遇のお母さんに

7年後に長男が再入院した時、付き添い入院の過酷さは、全く変わっていませんでした。
「一番辛いのは子ども自身だから」と、弱音を吐くこともできません。
同じような思いを抱えているお母さん達に、何か出来ることはないかと考えていた矢先、夫に膵臓がんが見つかり、わずか4ヵ月で帰らぬ人となったのです。

助けながら
自分も助けられる

付き添い入院をしている人を応援したいという思いと、残された家族を支えていくために、お弁当屋を開業しました。
その5年後には長男の病が悪化し、17歳で他界。続けるか悩んだ時期もありましたが、お弁当を届け、お母さん達と話すことで、私自身も元気をもらえ、生きる価値を実感しています。

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ここに注目!ラコルタの特集
地域で取り組む 成年後見活動

成年後見制度のニーズと課題

認知症や障がいなどで、成年後見制度の潜在的ニーズがあるとされる人は、 2022年時点で、全国に約1,000万人いると推計されていますが、制度を利用した人は約25万人で、全体の2%に過ぎません。
『吹田市民の地域福祉に関する実態調査(2020年)』でも「成年後見制度のことを知っている」と答えた人は36.0%という結果にとどまっています。

また、後見人の担い手についても、課題があります。
2000年は親族が9割でしたが、核家族化が進み、2023年には専門職(弁護士、司法書士など)が7割にまでなりました。
ただ、身上監護(後述)を充分に行う余裕はない状況です。

弁護士などの資格を持たない市民が、行政の養成講座を受けて、後見人になることのできる「市民後見人制度」も期待されていますが、個人として受けることによる責任の重さ、報酬の少なさ、後見人自身に何かあった時に対応できないなど課題も多く、普及は進んでいません。

地域での取り組み

一方で、地域には「市民後見人」として個人で活動するのではなく、市民が主体となってNPOを立ち上げ、様々な成年後見活動を行なっている団体があります。

本特集では、吹田市や近隣市を中心に活動するNPOの取材を通して、市民が関われる身近な成年後見活動を探ります。

成年後見制度とは?

認知症や障がいなどによって、ひとりで決めることに不安や心配な人が契約や手続をする際に、選ばれた「後見人」が本人の思いを分かち合い、いっしょに考え お手伝いする制度で、大きく2つの支援があります。

財産管理

本人の預貯金や不動産など財産・資産関係を預かり、管理すること

身上監護(身上保護)

本人の思いを尊重しながら、その人らしい生活を送ることができるように、生活の質(QOL)に配慮し、医療・介護・福祉などの生活全般の手配や契約の支援を行うこと

厚生省HP(成年後見)

吹田市や近隣市を中心に活動するNPOの紹介

NPO法人 障がい者・高齢者市民後見STEP

【主な活動エリア 豊中・吹田】

代表の竹村さんは、金融機関を退職後、自身の経験を活かして社会貢献がしたいと考え、「市民後見人」の役割や必要性を感じ、「市民後見」を銘打った法人として2017年から活動をスタート。

市民感覚を活かした後見を行うだけでなく、法律、税務、登記、信託など多様な協力ネットワークを組むことで、様々な相談に応え、つながりを広げています。

1.NPO法人だからこそ!市民感覚も活かした「法人後見」の受託

成年後見特化のNPO法人として、後見に対する敷居を下げ、社会貢献をしたいという思いから、弁護士などの専門職よりも安価にしつつ、複数の担当者で継続的な後見を行なっています。
同じ地域に住む市民でもある後見スタッフは、密に連絡をとりながら毎月ご自宅を訪問するなど、丁寧な身上監護も行うことができています。

2.市民に届ける!多様なセミナー&広がるつながり
<地域に赴く積極的アウトリーチ>

成年後見の認知度を上げるため、地域包括支援センターをはじめとした公共施設や、高齢者・障がい者施設などと連携し、出張セミナーやオンラインでの日曜講座など、無料で成年後見に関するセミナーを年間40~70回ほど開催。
地域の団体交流会などに積極的に参加しており、後見などの相談を受けるきっかけにもなっています。

「こんなことがありました」
代表理事 竹村哲也さん

後見契約をされていた独居の高齢女性がいました。
担当の後見スタッフ(同じ地域に住む市民)から、「いつもなら訪問前の連絡がすぐとれるのに、つながらないのはおかしい!」と報告があり、警察にも通報。
ご自宅に伺うと、倒れられており、救急搬送。後見人としてすぐに入院手続きもできました。
こうした「小さな違和感」を感じて、すぐ行動できるのは、同じ地域に住む市民だからこそだと思います。

特定非営利活動法人こもれび相談室

【主な活動エリア 池田】

代表の松田さんは、以前法律事務所で事務をしていた時、困ってから相談に来られる方がとても多かった経験から「大変になる前から、気軽に相談してもらえる環境をつくりたい」と、2016年から活動をスタート。
後見だけでなく、法律・医療・介護の専門家にいつでも気軽に相談できる身近な「まちの相談室」をつくっています。

1.誰でも気軽に! 「こもれびカフェ」と「ヘルスケア倶楽部」
<地域の人が行きやすい居場所づくり>

「地域の方々と日頃から顔の見える関係づくりをしたい」という思いから、誰でも立ち寄れる「こもれびカフェ」を毎週水曜日に開設。
日頃シニアの方が関心を持たれている体操や脳トレ、スマホ教室など様々な倶楽部をつくることで、困りごとがあった時に、すぐに相談できる環境を生み出し、後見相談につながるケースもあります。

2.地域に住む市民だからこそ!「こもれびサポーター」

後見契約をされた方々に、毎月の健康チェックやお困りごとを伺う「こもれびサポーター」を、地域の方々が担っています。
資格はなくとも、同じ地域に住んでいて、顔が見える関係だからこそ、できる支援となっています。
自分の親族が成年後見を利用したことがきっかけで「こもれびサポーター」になる人もおり、「支援される側から 支援する側へ」という支え合いの形にもなっています。

「こんなことがありました」
代表理事 松田美南子さん

ALS※を患っている方と財産管理委任契約を結んでいる弁護士から「(身上監護で思いを聴く上で)コミュニケーションの取り方に困っている」という相談がありました。
そこでALS患者の支援をしているNPO法人を探し、私たちスタッフも含めて研修を行なってもらい、その方に合ったコミュニケーション支援を行いました。
相談を受けた時、「何かできることはないか」といつも考えてきた結果、活動の幅やつながりが広がってきたと思います。

※ALS…筋萎縮性側索硬化症

市民が関われる成年後見活動

●成年後見のセミナーを受けたり、依頼してみる
●成年後見の相談機関に、相談してみる
●「市民後見人養成講座」を受けてみる

といった関わりも大切だけど・・・。
こんな関わり方も!

●「こもれびカフェ」や「ヘルスケア倶楽部」のような活動に参加してみる
⦅point⦆地域で顔なじみの関係になることで、大変になる前に相談しやすくなる!
●後見スタッフやこもれびサポーターのような「市民サポーター」になってみる
⦅point⦆「市民成年後見人」よりもハードルは低く、同じ地域に住む市民だからこそできる関わり方!

取材を通して・・

「同じ地域の人だからこそ、できることがある」

今回取材したどちらの団体からも出た印象的な言葉です。
成年後見は財産管理だけでなく「その人らしさ」を守る身上監護が大切で、「同じ地域の市民」だからこそ、より丁寧な身上監護ができるのかもしれません。
また、市民が主体となった「NPO」が生み出す多様な関わり方は、成年後見を単なる制度として終わらせるのではなく、地域共生社会の一端を担っているのではないでしょうか。

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THEピックアップ
ラコルタの取り組みを紹介!

山田高校2年生のボランティア体験受け入れ

開催日:4月~10月

授業の一環で、収集ボランティア・チーム「あつめーる」の活動を体験しました。約半年間、切手・ハガキの収集を呼びかけ、最後は、「あつめーる」のメンバーと一緒に仕分け作業に取り組みました。学生からは「集まるか不安だったが、高校生でも役に立てると実感できた」「ボランティアに抵抗があったが、これからも参加したいと思った」などの感想がありました。今後も学生に向けて、ボランティア活動に触れる機会を作っていきたいと思います。

写真:今年で3回目の取り組みです♪

千里キャンドルロード2024

開催日:11月4日(月)

ラコルタサポーターからの提案で、千里南公園で開催された「千里キャンドルロード」に出展しました。出展にあたっては、サポーターをはじめ、小学生や現役世代、シニアの方など幅広い世代の方々にご協力いただきました。当日は、事前に色塗りをしていた約1,000個の紙コップを並べ、「ラコルタ」の4文字をデザイン。来場者には、サポーターからラコルタの説明をしていただくなど、ラコルタを知っていただく貴重な機会となりました。

写真:のべ13名の方に、ご協力いただきました

ソーシャルな“居場所”をつくろう!
第9期 eNカレッジすいた

開催日:9月13日(金)~11月9日(土)

昨年度に引き続き「居場所づくり」をテーマにした連続講座を開催し、30~70代までの20名が参加されました。講義やワークショップ、活動見学を通して、居場所づくりのポイントなどを学び、最終回では、居場所プランを発表し合いました。参加者からは「同じような思いを持っている人に出会えて良かった」という声もあり、この出会いや講座での学びを地域で活かしていただけたらと思います。また、周知や運営面では、修了生の方にもご協力いただきました。

写真:最終日は、懇親会も行いました!

編集ノート

特集のテーマである「成年後見制度」。過日、高齢の親の手続きで制度の利用が必要になりかけた場面があった。“我が事”にならないと知る必要もないと思っていたのでかなり慌ててしまった。身近に相談ができ関われる場所があるのはありがたい。この機会に調べてみようと思う。将来、“我が事”になるかもしれないのだから。
(茨木)

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