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Be Social
私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。
第36回 木佐貫(きさぬき)麻美さん
「声にしづらい思いを気軽に話せる場に」
つどつど〜市民の声のプラットフォーム〜 代表
結婚後に吹田市へ転入。
二児の母。
対話の場づくりをめざして2022年に活動をスタート。
吹田市市民公益活動審議会の市民公募委員も務める。
生活の中で感じるモヤモヤ
待機児童の問題に直面し、姉弟で別の保育園に通わせなくてはならなくなった時、「おかしいよな」と感じると同時に、自己責任を押し付けられているようにも感じました。
他にも、母親に求められる役割への違和感や、子どもの声が蔑ろにされていると感じる場面があっても、その場の空気を読んで、波風を立てないようにすることに違和感を抱きました。
社会の問題として
活動を始めたきっかけは、一冊の本でした。
元々好きだったライターが、フェミニズムや政治をテーマに書かれた本です。
生活の中で感じる困り事を、個人の問題として片付けるのではなく、社会の問題として捉える視点を学びました。
ただ、政治家をめざすというのではなく、一市民として出来ることはないかと考え、対話の場をつくろうと思ったのです。
その都度考えその都度行動する
まち歩きなど気軽なイベントを開いたりして、少しずつ人との繋がりを広げていきました。
その後、女性や子どもの権利など、気にはなっても普段の生活では話す機会がないことをテーマに取り上げて、お話し会を開いています。
考え方の違いを知ったり、時には困り事へのアドバイスにつながることもあります。
みんなで共有して、解決に向けての行動を相談できる場となっています。
ここに注目!ラコルタの特集
多文化共生を築く市民公益活動
◆日本に在留する外国人は、2024年末で376万8,977人と過去最高を記録しました。
吹田市でも増加傾向にあり、2024年6月時点で7,293人が暮らしています(出入国在留管理庁のデータより)。
◆吹田市では、2017年に多文化共生の方向性を示す「吹田市多文化共生推進指針」を策定し、2024年には、在住外国人の多国籍化やそれに伴う相談支援内容の複雑化等に対応するため、「吹田市多文化共生推進アクションプラン」を策定しています。
同アクションプランにおいては、「コミュニケーション支援」、「日常生活における支援」、「多文化共生の地域づくり」の3つを基本方針とし、それぞれの基本方針には日本語学習の普及・促進、教育現場での支援や防災、地域で活躍する人材の育成などが具体的な施策として紐づけられています。
◆一方で、地域や当事者の実情に合わせて多様な市民公益活動も展開されています。
◆本号では、外国人市民※の現状と増加の背景、それに伴う市民公益活動について紹介します。
※外国人市民…住民基本台帳に日本以外の国籍 ・ 地域で登録している市民のこと。
吹田市の外国人市民の現状
吹田市多文化共生推進アクションプランに記載のデータによると、コロナ禍の影響により、外国人市民は一時減少しましたが、2023年度には再び増加し、コロナ禍以前よりも多くなっています。
また、外国人市民の在留資格全体の割合では「永住者」の他、市内に5大学1研究機関があることから、「留学」の割合も高くなっています。
国籍・地域別でみると、ベトナム、インドネシアは「技能実習」、ネパールは「家族滞在」の割合が高くなっていることが分かります。(下記グラフ参照)
グラフ:外国人市民の在留資格割合/総数、国籍・地域別
資料は住民基本台帳(2023年4月1日現在) 吹田市多文化共生推進アクションプランより転記
●総計6,443人(内訳 中国2,308人 韓国1,722人 ベトナム507人 台湾271人 フィリピン181人 ネパール178人 インドネシア164人 その他1,112人)
●在留資格(内訳 永住者、留学、特別永住者、技術・人文知識・国際業務、家族滞在、日本人の配偶者等、技術実習(全)、その他)
増加の背景
在留資格の割合として多くを占めている「技能実習制度」は、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、技能、技術又は知識の開発などの移転を図るものです。
しかし、日本では少子高齢化が進み、労働力人口が減少することから、2027年度から新たに外国人の人材育成と人材確保を目的とする「育成就労制度」が導入されます。
このことにより、次のステップとなる「特定技能制度」(人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人労働者を受け入れるための在留資格)への移行や、家族帯同や永住が可能となる「特定技能2号」も創設され、今までよりも働きやすくなるだけでなく、外国人市民にとっては、家族も一緒に長期的に日本で暮らすことができるようになります。このような新しい制度によって、今後さらに外国人市民の増加が予想されます。
外国人市民と共に暮らすこれからに向けて
吹田市がアクションプラン策定にあたり外国人等に行ったアンケートにおいて、全体の約8割が「ボランティア活動をしたことはないが、今後やってみたい」と回答したことから、外国人等が地域で活躍できる場の提供が必要だと同アクションプランにおいても示されています。
新しい制度によって、長期定住や家族も日本で一緒に生活する外国人市民が増えることから、一時的な労働者でなく、共に地域で暮らす存在になります。
このことは、同時に地域住民と共に地域を創っていく存在ということでもあります。
そのためには地域における繋がりづくりや、参加の機会を多様に創っていくことが必要であり、その起点や受け皿、担い手になるのが市民公益活動と言えます。
吹田市内での事例紹介
地域住民が30年紡ぐ
日本語教室を通じた地域の居場所
日本語教室「西山田あいうえお」
「西山田あいうえお」は、30年前に開催された西山田地区公民館の講座『世界の暮らし~フィリピン~』に参加したフィリピン人女性たちの声から生まれました。
「幼稚園や保育所から持ち帰る手紙の内容が、日本人の夫にしか読めず、困っている」という悩みに、地域の人々が「何とかしてあげたい」という思いから立ち上がったのです。
教室では、1年間を基本とした1対1形式の丁寧な指導が保育付きで毎週行われています。
テキストに沿った学習だけでなく、日常会話を交わす時間も大切にされており、学習者※たちにとって教室のボランティアスタッフは「家族のように温かい」とのこと。
15年以上通っている方は日本語だけでなく、日本の文化も学んでいます。
ネットで簡単に情報を検索できる時代ですが、ネットではなかなか出てこない地域の生活に密着した情報交換も行われており、家族ぐるみで付き合う友人ができるなど、「地域住民」として暮らす外国人同士の支え合いにもつながっています。
年に一度開催される『日本語で交流会』は、1年間組んだペアのスタッフが学習者の人となりや努力の様子も伝えた上で、学習者が日本語でスピーチを行って地域の人々と交流しており、異なる背景を持つ住民同士の相互理解を深める貴重な場です。
地域を歩いていると数年前に通っていた学習者に会うこともあり、当時のように気軽に声をかけ合えるというのも、長年地域に深く根ざしている証と言えるでしょう。
※学習者…教室に通っている外国人市民の方々
【市民の皆さんも関わってみませんか?】
日本語指導の経験や語学力は問いません。
日本語を通して、外国の方をサポートしたい気持ちがある方を歓迎します。
まずは『日本語で交流会』にぜひご参加ください。
他市の事例紹介(池田市)
役割があるから参加しやすい!
外国人市民と共につくる地域食堂
日本語教室「特定非営利活動法人 スポイの会」
会の中心を担っている副理事長の山田直輝さんは、自身が施設長として勤める老人ホームで外国人介護士を受け入れています。
日本に働きに来た外国人の様子を見ていると、ネット上のコミュニティはあるものの、仕事以外で人と繋がる機会がないのではと感じました。
地域と交わるコミュニティをつくることで、日本が第二のふるさとと思えるくらい、楽しみながら生活できる環境をつくりたいと思い、2021年に「スポイの会」を立ち上げました。
元々、施設での取り組みとして、地域との交流を目的とした子ども食堂などを開いていたことから、そのノウハウやネットワークを活かしながら、月一回の地域食堂「ほほえみ食堂アジアン」を開くことになりました。
子どもからシニアの方まで、年齢や国籍を問わず、多い時には50人もの人が食卓を囲む賑やかな交流の場となっています。
地域食堂は、ただご飯を食べにくる場でなく、食事の準備や片付けなど、ちょっとした役割をつくることで「必要とされている」「役に立っている」と感じられる場にしています。
そのようにして関係性が生まれる中で「いつもお世話になっているので自分たちも何かしたい」と、外国人市民からの発案でインドネシアカフェという企画も生まれました。
支援の対象ではなく、一緒に場をつくることで、フラットな関係が築かれ、外国人市民も活躍できる場になっています。
【市民の皆さんも関わってみませんか?】
まずは、地域食堂に来てもらい、一緒に食事などをしながら、場の雰囲気を知ってもらえればと思います。
THEピックアップ
ラコルタの取り組みを紹介!
市民参加型フェスタ みんなのSUITADAY2025
開催日:3月20日(木・祝)
今年は参加団体のみなさまも出展・出演するだけではなく、団体のことをもっと知ってもらうためのアイデア出しを行いました。
結果「吹田クロス」を活用したPRや、シールラリー、ボランティア体験など様々な案を実現し、「横のつながりを感じることができた」という声をいただきました。
また、南千里駅前公共広場を活用して「ワクワクすることをやってみたい」という市民を公募し、大学生からシニアまで幅広いメンバーが集まり、3ヶ月かけて企画準備を進めました。
当日は「巨大すごろく」「やさしいボッチャ」「いきいき体操」を実施。子どもからシニアの方まで多くの市民の方に楽しんでいただきました。
また、企画したメンバーからも「準備から当日まで大変だったけど、本当に楽しかった!」との感想がありました。
他にも、ラコルタサポーターによる装飾(ガーランド、顔出しパネル等)や、当日ボランティアの方々の協力など、多様な人たちとともに「みんなでつくる!」が実現できました。
今後も、当日だけではなく、企画立案や準備などプロセスから関わってもらうことで、多くのみなさまに市民公益活動の一端を楽しみながら体感してもらえる事業を展開していきます。
吹田クロスのロゴ説明:みんなのSUITA DAYでは「ワクワク」と「ひろば」をつなげたロゴを使用しました。
本・CD収集のご報告とお礼
●期間:3月1日(土)~30日(日)
収集ボランティア・チーム「あつめーる」で、昨年度に引き続き、自宅にある本・CDの収集活動に取り組みました。
今回は寄付いただいた方へ、集まった本・CDの箱詰め作業への協力も呼びかけ、小学生~70代まで幅広い年代の方にご参加いただきました。
本・CDは約2,800点お寄せいただき、110,316円を吹田市の「みんなで支えるまちづくり基金」に寄付しました。
呼びかけに対しご協力いただいた皆さん、本当にありがとうございました!
写真:何度も足を運んで寄付された方も
編集ノート
原稿を書いている4~5月は総会シーズンで、私もいくつかの総会に出席していました。
総会資料を読むと、普段使わない固い文章が並んでいるのですが、日本語を母語としない方でも読みやすいよう「やさしい日本語」にすれば、外国人だけでなく、いろんな方に活動の魅力が伝わる機会になるかもしれません。(春貴)
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