本ページでは、ニュースレターの文字情報だけを掲載しております。
また、ニュースレターに掲載されているイベント情報は、本サイトの最新情報からご確認ください。
Be Social
私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。
第39回 田中 誠さん
「仕事で感じた疑問をNPOで解決」
NPO 法人 空き家等終活支援センター 副理事長
行政書士。2016年に団体を発足し、空き家を未然に防ぐ終活支援として、啓発セミナーや無料相談会を行う。
仕事で感じた疑問
大学時代にアルバイトをしていた法律事務所で、法律の専門性が人の役に立つことに心を打たれました。
建設会社に勤務しましたが、その思いは消えず、40代で行政書士になりました。
相続手続きに携わる中で、住み手がいなくなり、空き家となる多くのケースに直面します。
「手続きを進めるだけでは、空き家を増やすことになるのではないか」と思いました。
NPOとして取り組む
全国に数百万件もの空き家があり、その多くは相続への理解不足が原因でした。
空き家が放置されれば、やがて行政が対応せざるを得ず、社会全体の負担にもなります。
この問題は一人の行政書士の力だけで解決するのは難しく、仲間と取り組む必要があると感じました。
そこで、NPOとして空き家の問題に取り組むことに決めました。
相続を自分事として
相続は将来に関わる大切なテーマですが、難しく、関心を持ちにくいのが現実です。
そこで相続について物語仕立ての紙芝居で分かりやすく伝えたり、遺言書を「思いを伝える手紙」として捉え直す「絵手紙遺言書」も考えています。
相続を身近な問題として考えてもらい、事前の備えに繋げることで、空き家の発生を減らしていきたいです。
ここに注目!ラコルタの特集
場所からはじまる市民公益活動
最近、当センターには「自宅の一室などプライベートな空間を、地域や市民公益活動のために活かしたい」というご相談が増えています。
「具体的にどのような形で活用すれば良いのか分からない」という声にお応えしたく、本特集を企画しました。
今号では、吹田市内で先駆的に取り組まれている2つの事例を通し、場を開くに至った背景や想いをご紹介します。
また、子どもから大人まで誰もが学びたい時に学べる場として、自宅の一部を「2畳大学」として開放している梅山晃佑さんにも「私的な空間を地域に開く」という行為が持つ社会的意義について、ご寄稿いただきました。
本特集が、読者のみなさんにとって「場所から始まる市民公益活動」の可能性をより身近に感じ、新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
お寺を地域の交流や学びの場に
光源寺
山田東に所在し、1673年(延宝元年)に開基。
現在の本堂は、約150~200年前に建築された歴史ある建物。
お寺というと葬儀や法事で訪れるイメージがありますが、歴史を振り返れば、学びの場や薬の提供を行うなど、かつての「寺子屋」のように困っている人を支える役割を地域で担ってきました。
光源寺の住職・紅(あかし)伸之さんも、お供えのお菓子を活用して支援する「おてらおやつクラブ」に参加するなど、市民公益活動へ高い関心を持っていました。また、子育ての中で不登校や居場所を求める若者たちと接する機会があり、「光源寺を、かつてのお寺が果たしてきた役割に近づけたい」という想いを抱くようになったのです。
そこでまず、大学生と連携したイルミネーションやマルシェなどを開催し、お寺の敷居を低くする取り組みを始めました。少しずつ地域に開いたお寺をめざす中で、ボーイスカウトの子どもたちが境内を休憩場所として利用する姿も見られるようになりました。
紅さんは「今後も家族や檀家さんの協力を得ながら、将来的には子どもや若者たちの学びの場にしていきたい」と語ります。また、活動場所を探す団体や、地域で何か取り組みたい人たちとも手を携えながら、サードプレイスなどお寺の可能性を広げていきたいとのことでした。
自宅を地域のために活かして残す
ハヤシサンチ
千里山西にある築約100年の自宅を、地域の居場所として開放。
開放日:毎週木・金曜日
15:00~18:00
「ハヤシサンチ」は、名前の通り「林さんの家」を活用したプロジェクトです。そのきっかけとなったのは、家主の林典宏さんの「地域への思い」でした。
大正から昭和初期に開発された千里山地区の西側は、洋風や和洋折衷の建築が残る住宅地となっています。
しかし、相続をきっかけに取り壊されていく家も増え、昔ながらの街並みが少しずつ姿を消していきました。千里山で生まれ育った典宏さんは、歴史ある建築物を後世へ残していきたいと考えたのです。
また、学生時代に釜ヶ崎で子ども支援の活動に参加していた経験を生かし、現役を引退した後は、地域に子どもたちの居場所をつくりたいと思い、2025年6月に自宅を開放し初めてのイベントを開催。
長年、地域で活動している妻・佳子さんの協力もあり、約150人もの人が集まる一大イベントとなりました。
8月には、フリースペースとして自宅を開放する現在の活動スタイルを開始。
しかし、その3カ月後に、病気のため典宏さんは他界されました。
現在は、次男、晃司さんが中心となって活動を継続しています。
フリースペースの他にも、地域の仲間達と一緒に朝マルシェや餅つき大会などのイベントを開催。
自宅の開放エリアと活動時間を限定することで、家族の暮らしを大切にしながら長く続けられる運営をめざしています。
何よりも、愛着のある家に住みながら地域に貢献できる点が、大きな魅力となっているようです。
寄稿:小さな場所に、まわる小さなギブ
ついたちレコード 梅山 晃佑さん
1981年大阪生まれ。
大学卒業後、市民活動やNPOの支援事業に20年近く携わり、アート・福祉・まちづくりなど幅広い分野でのサポートを経験。
現在は独立して、プロジェクトや団体の立上げや運営に必要な知識・スキルを学ぶプログラムの企画を行う。
自身も地域でアートプロジェクトの企画やコミュニティスペースの運営を行うなど、プレイヤーの視点・経験も持つ。
最近は端材廃材活用のプロジェクトや島根県出雲市でのコミュニティスペースづくりなども行っている。
「ギブ・アンド・テイク」という言葉、みなさんはどんな印象を持たれていますでしょうか。
目の前の相手と「これをするから、あれをしてね」という「お互い様」というニュアンスが強いかもしれません。
この言葉の味わい深いところは「ギブが先にある」ところだなと思います。
「やってくれるからやる」のではなく、先に何かを差し出す。
「交換」ではなく「先送り」。
自分の持っている何か(時間、お金、技術、気持ちなど)を差し出し、その時は何も受け取らず、時間が経ってから何か(感謝、金品、評価、協力)を受け取ったり、差し出した相手とは違う別の誰かから何かを受け取ったりと、ギブ・アンド・テイクという言葉は「すぐに&その人からは返ってこない、でも差し出す」というニュアンスも含んでいます。
こういった市民活動におけるギブ・アンド・テイクは、人が集ったり出会ったりする何らかの「場所」があり、そこで様々な人が交錯することで促進されていきます。
元々みんなに見えてなかったもの(資源のようなものも、課題や問題も)が、何らかの場所で人が出会い話すことで、一気に「見える」ものになります(見えないものは無いものになる)。
そうなることで、たくさんのギブが生まれ始めます。
市民活動において居場所・サードプレイス・コミュニティスペースという言葉がここ15年くらい ずっとホットなテーマであり続けています。
それは、こういった交錯が起きるような場所があると何かが起きるという期待感があり、実際に様々なことが起きているのが理由のひとつじゃないかなと思います。
まちのギブをたくさん産むには、行政頼みで「大きなものを1つ」ではなく、個人個人の「小さな色々がたくさん」あることが重要で、住み開きのような「小さな場所で、できる範囲で」にはそういった可能性があるのではないかと思います。
建物や広場の使っていない部分や時間帯などを誰かに貸すことは、新しく何かを作ったりせずにすぐにできます。
そう、場所そのものも「ギブしやすいもの」なのです。
場所をギブする人がいて、そこを使って何かをギブする人がいて、そういった小さなギブがまちに増え、小さなテイクがまちにどんどん回っていく。
小さな「場所」はまちづくりの循環の起点になる可能性を秘めています。
使ってない場所がある方、場所で何かをしてみたい方、どこかの場所で誰かにちょっと話してみてください。
きっと何かが起こり始めます。
(写真)2畳大学:自宅の「2畳の部屋」を使ったコミュニティスペース。
世界一小さいキャンパスとして、色んな授業やイベントを開催。
THEピックアップ
ラコルタの取り組みを紹介!
みんなのSUITA DAY 2026
みんなのSUITA DAYは「みんなでつくる!」市民参加型フェス
開催日:3月15日(日)
出展・出演…だけじゃない!
参加団体の取り組み
参加団体のみなさんが、広場、屋内、ステージと分かれて、それぞれの場をもっと盛り上げるためのアイデア出しを行いました。
昨年以上に多様なアイデアが出て、協力し合いながら、準備を進めており、横のつながりも生まれています。
大学生からシニアまで幅広い世代の市民による取り組み
「古着×手芸×地域×アート」というテーマに関心がある学生や市民が集まり、アーティストの薮内美佐子さんもアドバイザーとしてお招き。
衣服としての活用が難しい状態の古着を素材として活用した実験的企画を進めています。
eNカレッジすいた 修了生の取り組み
今年度で第10期目の開催となった「eNカレッジすいた」。
修了生の有志が集まり、まるたすひろばを活用し「ゆるいつながり」をテーマに市民が楽しめる様々な企画づくりに取り組んでいます。
編集ノート
表紙のBe Socialは、活動している人のきっかけや思いを中心に取材しています。私たちの日常には、気になりながらも当たり前になってしまっていることが多くあります。忙しさや周りの目を気にして見過ごしてしまいがちですが、そうした気づきの中にこそ、活動のタネがあるのだと改めて感じました。(芝)
