ニュースレター(HTML)

ニュースレター第39号(HTML版)2022年6月1日発行

本ページでは、ニュースレターの文字情報だけを掲載しております。
また、ニュースレターに掲載されているイベント情報は、本サイトの最新情報からご確認ください。

Be Social

私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。

第24回 孫 悦嘉(そん えつか)さん
「学びの場がつながる場へ」

大阪大学大学院高等司法研究科1年

2010年に中国から来日し、豊津第一小学校へ転入。
中学生のときに(公財)吹田市国際交流協会「ハロハロSQUARE」(外国にルーツをもつ子どもの放課後教室)の1期生として学び、2021年4月からはボランティアとして活動している。

自分の経験を活かして

親の転勤で、ひらがなとカタカナだけを覚えて12歳で来日しました。
「ハロハロSQUARE」(以下、ハロハロ)では勉強だけでなく、学校や日常生活の相談にも乗ってもらえたことで、日本での生活に慣れることができました。
言語が分からない環境に置かれ、戸惑いや不安を感じた経験から、同じ境遇の子どもたちの力になりたいと思い、活動を始めました。

教える立場になって

教えてもらう側だった時は気軽に質問していたのですが、教える側の立場になると、どうやって教えれば良いのかすごく考えさせられます。
カタカナを覚えるのに苦労していた子どもを担当した時には、週ごとに目標をたて、本人のやる気を引き出しながらサポートしました。
教え方に難しさを感じることも多いですが、私自身の学びにもなっています。

社会とつながる場所

子どもとの関わりも楽しいのですが、ボランティア活動は幅広い年代の方とも交流できるので、様々な考え方に触れることができます。
普段は家族や学校での人間関係に限られますが、私にとってハロハロでの活動は社会とつながる大事な場所になっています。

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ここに注目!ラコルタの特集
いま考えたい「ヤングケアラー」のこと

「ヤングケアラー」とは、法令上の定義はありませんが、「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」とされています。
2021年に国が初めて実施した全国調査では、中高生のおよそ20人に1人がヤングケアラーという結果が報告されました。
ケアに伴う大きな責任や負担が、進学や就職、人間関係など、その子の将来にわたって深刻な影響を及ぼすケースがあるとされ、大阪府や大阪市では地域ごとの実態把握を進めています。

一方、「ケア」という言葉から連想されるイメージや、子どもが家の手伝いをするのは当たり前という社会の認識から、本人や家族もSOSを出しづらく、孤立を深めてしまうという課題も指摘されています。
国や自治体による総合的な支援が急がれる今、ヤングケアラーの現状をあらためて知り、問題の本質と地域でどう支えていくかを考えるきっかけにしたいと思います。

ヤングケアラーとは・・・
例えば、こんな状況にある子どもたちです。

図解コピーとそのイラストの引用は、
コピーライト:ヤングケアラー研究チーム
イラスト:FMCイラスト工房多田文彦

●障がいや病気を有するきょうだいの見守り・お世話
●精神的に不安定な親を支えている、グチを聞いている
●年下のきょうだいの面倒をみている
●家事をしている
●高齢の家族の話し相手
●日常生活の介護、手伝い
●外出の手伝いをしている
●病院に付き添っている
●家族の通訳

大阪府内の状況

(2021年度「府立高校におけるヤングケアラーに関する調査」より)

大阪府が実施した府立高校生を対象にしたWEB調査では、回答者約2万人のうち、1,312人(6.5%)が「世話をしている家族がいる」と回答しています。
また、学校生活の状況については、欠席や遅刻、宿題ができないといった傾向が見られました。
大阪府では、ヤングケアラーを適切な支援につなげるため「見つける・つなぐ・支える」という3つの視点で支援体制の構築に取り組まれています。

グラフ:世話に費やす時間と欠席との関連

当事者を支える取り組み

特定非営利活動法人ふうせんの会事務局長 南多恵子さん

当会は、家族のケアを担う子どもや若者の交流と、その存在を社会に発信していくことを目的として2019年12月に発足しました。
隔月で開催している「つどい」※では、参加者のケア体験を共有しています。
活動拠点は大阪ですが、東京や北海道からオンラインで参加される人もいます。

味方がいる、仲間がいる

「つどい」はいわゆるピアサポートの場です。
同じ経験をした人たちの輪だからこそ語れる、分かり合える大事な時間となっています。
例えば、「色々な状況の方の話が聞けて、葛藤しながら頑張っているのは私だけじゃないんだと思えました」や「このような環境だからこそ、隠さなきゃいけないと思っていた自分の本音と向き合う良い機会になりました」、「同じ境遇の人の悩みを聞いて共感できる部分があり1人ではないと思えた。
もしかすると自分もそう言う人たちの力になれるのではと感じた」などの声が寄せられています。
ケアについて安心安全に話せる居場所であり、自分も誰かの役に立てるのでは…と気づく機会にもなっているようです。

サインに気づく視点を

当事者の経験は一人ひとり異なるものの、共通していると感じるのは、家族のケアを終えた後もしんどさを抱え続ける人がこれほどいるということです。
だからこそ、子ども時代に社会が気づくことはとても重要で、「もしかして、ヤングケアラーなのかもしれない」というサインに気づく人が少しでも増えてほしいなと思います。

※「つどい」は主に奇数月の第2日曜日に開催。
参加者の年齢やケア経験はさまざま。
話を聞くだけの参加もOKです。
詳しくは団体のWEBサイトをご覧ください。

相談はこちら・・・

大阪府吹田子ども家庭センター(児童相談所)

ヤングケアラーをはじめ、子どもや家庭についての相談、
青少年(おおむね25歳まで)についての相談を受けています。

TEL:06-6389-3526 FAX:06-6369-1736 
吹田市出口町19-3
受付時間:平日9:00~17:45

ラコルタからのお知らせ

テーマカフェ「ヤングケアラー」

当事者による経験談などをお聞きし私たちに出来ることを一緒に考えませんか?

7月30日(土) 14:00~16:00
●会場:ラコルタ
●ゲスト:ふうせんの会
●定員:先着30名

参加費無料。詳細、お申込みはラコルタへ

弁護士の峯本 耕治さんに聞きました!
「子どもの権利を守るために地域にできること」

ヤングケアラーの支援について考えるときは、国連「子どもの権利条約」が定める「成長や発達の権利」「虐待から守られる権利」が侵害されているという視点を持つことが必要です。

長時間にわたるケアが要因となって、学習意欲の低下や不登校につながる例や、幼い弟や妹の世話を担わざるを得ない例などは、ネグレクト(育児放棄)に至っていると言えます。

ヤングケアラーを支えるには、それぞれの状況に応じた専門的な支援が必要となりますが、地域の中でもできることがあります。

しんどさを抱えた子どもにとっては、子ども食堂やフリースクールといった地域の居場所が、精神的な支えになるのです。
子どもを認め、抱える不安を聞き、少しでも軽減する。
そんな関わりが、子どもの自尊感情を高め、自立にもつながっていきます。

弁護士 峯本 耕治さん

大阪弁護士会子どもの権利委員会所属・吹田市児童虐待防止ネットワーク座長・NPO法人関西こども文化協会副理事長ほか

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編集ノート

この4月からセンター長に着任いたしました。
ラコルタは、2012年9月に開設して以来、多くの方に支えられながら施設の運営にあたってきたところです。
新たな体制のもと、これまで以上に市民の思いを尊重しながら、吹田の地域づくりを支えていきたいと思っています。
(春貴)

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