ニュースレター(HTML)

ニュースレター第25号(HTML版)2018年12月1日発行

本ページでは、ニュースレターの文字情報だけを掲載しております。
また、ニュースレターに掲載されているイベント情報は、本サイトの最新情報からご確認ください。

Be Social

私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。

第10回 山中久司さん
「地域とつながる公務員」

吹田市職員・ラコルタサポーター

関西大学卒業後、吹田市へ入職。ラコルタサポーターとして、開設当初より「南千里かえっこバザール」に関わる他、様々な団体の活動に参加している。2児の父親として子育てにも奮闘中。

活動が進路の決め手に

大学生の時、ボランティアとして「吹田まつり」の運営に参加しました。
初めて地域の人たちと関わる中で、市役所の職員が間を取り持ってくれたり、時には咤激励をしてくれて、自分たちを支えてくれました。
卒業後の進路が決まっていなかったのですが、活動を通じて市役所の仕事に憧れを持つようになりました。

経験が仕事に活きる

入職後も様々な活動に参加しています。
というのも、私が考える市役所の役割の一つに、地域の潜在能力を引き出1、伸ばすことがあります。
地域との関係づくりなど、活動を通して学んだことが、市役所の仕事にも役立っています。

仲間を増やしていく

地域に飛び出して活躍する公務員のネットワークに参加しています。
現在、吹田でのイベントを予定しており、地域への飛び出し方を伝えたり、地域とつながれる環境をつくっていきたいと考えています。
地域との関わりに楽しさを見出せる、そんな公務員を増やしていきたいです。

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ここに注目!ラコルタの特集
NPO法(※)施行20周年を迎えて
~NPOを創る時代から可能性を広げる時代へ~

(※)NPO法(特定非営利活動促進法)とは、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、1998年12月に施行された制度。

現在、NPO法人数は5万件を超え、すでに日本の社会制度の一部に成長したといえます。
しかし、法人設立数は2006年をピークに減少傾向にあり、解散や行政から認証の取り消し処分を受けた数は1万件以上にのぼります。

その背景には、高齢化などによる担い手不足や、寄付金の使い道が不透明など、アカウンタビリティ(説明責任)が果たせていないといった実態があります。

一方で、若い世代を中心にNPOを通じて社会に変革を起こす動きも広がりつつあり、NPOを創る時代から、NPOの信頼と多様性を広げる時代に入り、その流れを加速させることが、法の理念でもある「市民社会」の構築につながると考えます。

本特集では、法律施行20年を機に、「これからのNPO」を見据えると同時に、社会貢献、地域貢献を支える拠点施設の未来について考察します。

NPO法人は「参加の器」を目指そう!

社会福祉法人 大阪ボランティア協会 常務理事 早瀬 昇

12月1日でNPO法施行から20年となりました。
この法律成立の100年前に始まった旧・公益法人制度は「官」の下に「民」を置き、行政が民間活動を監督・指導する仕組みでした。
しかし、阪神・淡路大震災で市民活動に行政を越える力があることが知られ、国会議員と市民の対話で法案を策定。それまで分野ごとに縦割り状態だった市民団体が全国レベルで進めた運動が功を奏して成立したのがNPO法です。

NPO法のもっとも重要な意味は「国家公益」に対する「市民公益」の存在が制度的に認められたこと。
活動の効果が不特定多数に開かれ、10人以上の正会員が集うなどの条件で、公益法人の一つであるNPO法人の認証が得られます。
会員数が示すように、公益性の鍵は「参加」です。
税制上の優遇が受けられる認定NPO法人の条件も年間3,000円以上の寄付者が100者以上いること(絶対値基準)。
市民の参加度で公益性を評価する仕組みとも言え、NPO法人は市民参加を基本とする法人格です。

市民が参加の機会を得ることで、社会の課題を解決する主体となれますし、様々な困難に苦しむ人々の課題を他人事扱いしない市民が増える温かい社会づくりが進むことにもなります。

しかしNPO法人の中には、この「参加の舞台」となっていない法人も少なくありません。
「事業活動に関わるボランティアの年間のべ人数」(内閣府2017年調査)の状況は、1人もボランティアが活動していない法人が2割強、ボランティアが月に1人活動するかどうかという法人も含めると約3分の1です。

NPO法人のイメージが拡散する中、法人格を得るだけの法人ともいえる一般法人を選ぶ団体も増えています。
一般社団法人は、設立時には2人以上、設立後は1人の正会員だけで良い法人格。
そこに「参加」の観念はありません。
理事会での委任ができないなど運営面での規制はあるものの認証手続きが不要など一般法人の方が楽だという見方もあります。

しかし、寄付者に税の優遇を得る場合、一般法人になった後、公益法人の認定を受けるか、NPO法人から認定NPO法人になるかですが、過去10年間で公益社団/財団法人の新規認定数が580件なのに対し、認定NPO法人の新規認定数は990件。
一般法人よりNPO法人の方が寄付税制を得る資格を得やすい状況です。

寄付もまた参加の一つ。
その意味でも、NPO法人が「参加の器」としての特性を発揮することが期待されます。

写真:早瀬 昇さん
プロフィール:1955年生、大阪府出身。
阪神・淡路大震災時に日本最初の災害ボランティアセンターを設立。
NPO法制定にも深く関わる。
吹田市山田在住。

まちづくりの多様な担い手とともに
地域の未来を支える

市民公益活動の拠点施設(支援センター)の新たな役割について、北摂エリアの3つのセンターが熱く語り合いました。

【箕面から】
箕面市立 みのお市民活動センター
指定管理者 理事長 須貝 昭子

【池田から】
池田市立 公益活動促進センター
指定管理者 事務局長 谷田 成司

【吹田から】
吹田市立 市民公益活動センター
センター長 柳瀨 真佐子

吹田/
法律が制定された当時、市民社会づくりの新しい主体としてNPO法人が期待されましたが、今はその担い手が非常に多様になった感があります。
公益法人制度の改革によって一般社団法人という選択肢が増え、NPO法人が唯一の手段ではなくなりました。
東日本大震災など社会全体を揺るがす出来事があり、地域のつながりが見直され、地縁組織の役割にも再び注目が集まっていますし、若い世代を中心とした社会にイノベーションを起したいという動きも活発です。

箕面/
以前は何か活動を始めるなら、まず組織をつくるというのがオーソドックスなやり方でした。
今は必ずしもそうではなく、活動のテーマを見つけた人が、個人で働きかけたり、行政や企業と手を組んで課題解決に取り組んだりすることが増えた印象を持っています。
NPO法人の設立はあくまで手段のひとつ。大切なのは、社会をどう変えたいのか。
私たちのような支援センターは、地域の課題を見極め、コーディネートやコンサルティングを通じて市民の活動を応援する役割が求められてくると思います。

吹田/
社会の中で何が起きているか、みんなが何に困っているのかをキャッチする感性や、悩みに寄り添い一緒に考えられる相談対応力がますます大事になってきますね。
ときには支援センター自身が企業や行政、市民とともに手を組んで社会課題解決の主体になり得る可能性もあると思います。

池田/
組織の設立や運営を支援する「水やり」から、その前段の団体発掘や、共に課題解決に取り組むきっかけづくりとして、「種蒔き」の役割に移ってきたなと感じています。
例えば、社会課題を当事者目線で調査研究していく取り組みを最近始めました。
例えば、出産・子育てを機に仕事を退職した女性は、社会復帰にものすごいハードルを感じています。
じゃあ、子育て中の女性が働きやすい社会って何だろう?ということで、アンケート調査を行って、結果について話し合って。
それだけで終わるのはもったいないということで、6人のママたちがシフトを組んで、実験的にうちの事務所で働くことになりました。
地域に関心がある人、地域の現状にモヤモヤを感じている人が、相談すれば何かしら解決につながるヒントが見つかる場所にしたいですね。

箕面/
多様な担い手の中でも、シニア世代はセカンドライフとしてさまざまな活動に関わっていて元気です。
一方、災害支援の現場では、社会貢献したいという若い人たちも増えています。
そういう個々の人たちをどうゆるやかに繋げていけるか。
世代や分野を超えて課題を共有し、ノウハウを次世代にどう伝えていけるか。市民目線での「協働」をあらためて考えています。

吹田/
世代や分野、ときには地域も超えて、お互いの強みを活かしながら一緒に課題解決に取り組む姿勢を大切にしたいですね。
会議室や印刷機などの施設利用はもちろん、まちづくりの拠点として、何でも相談できる、つながるきっかけが見つかる、そんなふうに利用してもらえる支援センターでありたいなと思います。

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THEピックアップ
ラコルタの取り組みを紹介!

第5期 エンカレッジすいた
~地域や社会とつながる最初の1歩~

開催日:9月7日(金)~11月16日(金)で全6回

カリキュラムの一部紹介
●対話力や自尊感情を学ぶ
●幸せな地域社会について
●社会で“自分”を活かすワーク 
●多様な社会貢献スタイルを知る
●自分の気持ちを上手に伝えるコミュニケ―ション術について

“ソーシャルな生き方”を考える連続講座「エンカレッジすいた(以下、エンカレ)」の第5期を開催し、21名の方が参加れさました。

エンカレでは、コミュニケーションについて学ぶ講義や、幸せという視点でまちづくりについて考えるワークショップなどを実施しました。
普段の生活の中では得られない新しい発見や・気づきがあり、これからの自分の活動について考えてもらう機会となりました。

以下、参加者の感想を少しだけ紹介いたします。
「自分を見つめて、再度、やりたいことを確認できた!」
「いろいろな考え方、性格に出会えて価値観が広がった」
「もっとかたい感じの講座と思っていましたが、実際にはわりと気楽な感じでした」
「みなさんとコラボレーションすることで、吹田で自分の目指す活動ができそうだと気づいた」など。

参加者の思いや、目指すことはそれぞれでしたが、エンカレで学んだソーシャルな視点を活かして、これからの吹田を盛り上げていただけたらと思います。

写真:初日はゲームを通して自己紹介をしました
写真:夜間のため仕事帰りに参加される方も

吹田の子どもの貧困
共催:吹田市立市民公益活動センター・
吹田市きしべ地域人権協会

開催日:11月11日(日)

「見えづらい」といわれる子どもの貧困問題を取り上げて、テーマカフェを開催しました。
当日は、関西大学社会学部社会システムデザイン専攻草郷ゼミの学生たちから吹田市内における子どもの生活実態について、調査データなどをもとに発表してもらいました。

その後、市内で学習支援の活動に取り組む、NPO法人あっとすくーるの渡剛さんから、支援の現場から見えてきた課題についてお話しいただきました。
参加者からは「同じような課題について考えておられることがわかり、勇気付けられました」
「自分に何ができるのか考えてきたい」といった感想が寄せられました。
子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行されてから、今年で5年が経ちましたが、地域社会の課題として捉えなおす機会となりました。
※12月9日(日)13:30より、交流活動館で 同内容のイベントを開催します。お申込みはラコルタまで。

写真:21名の参加者が集まりました

編集ノート

今年は地震や台風により、吹田市内も各所で被害が発生しました。
災害は必ず起こるものだと認識をしながら、日頃の備えを心掛けたいと思います。
また、災害に強いまちをつくるために何をすれば良いのか、市民のみなさんと共にラコルタとしても考えていきたいと思います。
(春貴)

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