ニュースレター(HTML)

ニュースレター第29号(HTML版)2019年12月1日発行

本ページでは、ニュースレターの文字情報だけを掲載しております。
また、ニュースレターに掲載されているイベント情報は、本サイトの最新情報からご確認ください。

Be Social

私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。

第14回 馬場 しずかさん
「日本一のフリースクールをつくりたい」

特定非営利活動法人ここ 副理事長
吹田市出身・在住。大学卒業後、スタッフとしてフリースクール運営等に携わる。2016年より副理事長。
趣味はラジオを聴くこととサーフィン。
不登校や発達の気になる子どものための学校外の学びの場「フリースクールここ」

「おもしろい」がはじまり

現理事長と出会ったのは高校生のとき。彼は、当時よく利用していた公共施設の自習室のスタッフをしていました。それまで出会ったどの大人とも違っていて、おもしろい人だなと。不登校や居場所といったことは特に意識せず、みんなで仲良くなって一緒にごはんを作って食べたり、遠足に行ったり。言葉にするのが難しいけど、とにかく居心地が良かったんです。

続けるために必要なこと

大学に入ってからは、ボランティアスタッフとして関わるようになりました。社会課題の解決をめざすソーシャルビジネスのコンペに参加して、将来のことを考えました。不登校って何だろう。支援って何だろう。活動を続けていくには、お金もきちんと回していかなくてはいけない。そういったことをあらためて話し合うこと自体が、とてもワクワクしました。卒業後、そのままスタッフになりました。

やりたいことを仕事に

NPOで働くことを親に伝えると、主に収入面を心配し、最初は反対されました。しかし将来の仕事について無頓着だった私にとって、やりたいと思えることはこの仕事しかなかったんです。日本一のフリースクール(※)をつくることをめざして、これからも頑張っていきたいです。
(※)フリースクール・・・ 主に不登校児童生徒などを対象に、教育相談、体験活動、学習指導などを行っている民間の施設。

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ここに注目!ラコルタの特集
定年後のワークライフバランス~人生100年時代をどう生きる?~

定年退職をきっかけに、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)を見直す方が、多いのではないでしょうか。
総務省の社会生活基本調査(2016年)を参考にすると、現役時代における仕事及び通勤に要する時間は、1日あたり約10時間となっていました。定年後は、これらの時間も含めたセルフマネジメントが必要となります。
仕事・趣味・教養など、定年後の過ごし方は十人十色ですが、ボランティア活動などを通じて、社会と上手に向き合うことは、生きがいづくりやQOL(生活の質)の向上に繋がります。
本誌では、定年後も社会と繋がりながら、自分らしく生きるためのワークライフバランスについて考えます。

eNカレ修了生に聞きました!

eNカレッジすいた(eNカレ)は、ソーシャルな生き方について考えるラコルタの連続講座です。50~60代の参加者が約半数を占めており、セカンドライフを考えるキッカケづくりにもなっています。

定年後は「省エネ」で

石山 満夫さん (58)【eNカレ5期生】
訪問看護サービスの事業所を経営。吹田市内で、認知症カフェグループの連絡会を立ち上げる。

土日になると、家にこもっていたらあかんと思い、読書の趣味はないけど、本を持って散歩に出ています。でもそれだけでは、定年後に「やることが何も無いわ」ってなるんじゃないかなと、不安な気持ちになります。
だから、趣味やボランティアとか、ちょっとずつ色んな事に興味をもっていくことで、徐々に生活をシフトしていきたいと思っています。
特にボランティア活動は、体力のことも考えたら、省エネやと。人のためにもなるし、地域のためにもなるし、自分のためにもなる。年齢を重ねることで、そんなことの知恵が生まれ、工夫もする。利害関係もないし、価値観も違うので、職場と違った拡がりがある。 
他愛のない話しができて行って良かったなとか、ストレスも発散されるので、人と関わることが面白くなってくる。そうなってくると、人生も楽しいなと思えるんじゃないかな。

人生の折り返し地点

吉江 稲子さん (54)【eNカレ3期生】
勤続年数30年を越え、自分のこと以外に何かしてみようと思い、ラコルタに足を運ぶ。

親はいるけど、子どもも配偶者もいません。なので、今まで自分のことしかしてこなかったんですね。仕事をしながら自分の好きなことだけをして、誰かに迷惑をかけることも、かけられることも無いんですけど…。でも、人生を折り返して先が見えてきたときに、他に何かできることもあるのかなぁと思って、eNカレに参加しました。
定年退職すると、今まで働いてきたことが「無かったこと」にはならないけど、寂しくなるやろうなって思います。
例えば、私は映画が好きなので、家に招いて、みんなで映画を観るとか、おいしいパン屋さんがあったら、みんなで試食するとか。そんな身近なことでもいいし、仕事のキャリアや経験を持ち寄って、自分が知らない話を聞いてみたり。世の中に取り残されないよう、いろんなことに関心を持ち続けるためにも、そういったサロンみたいなものができたら良いなと思っています。

親の姿を通して見えてきた方向性

潮田 令子さん (60)【eNカレ6期生】
調剤薬局で薬剤師として勤めあげる。現在は、吹田ホスピス市民塾で、がんサポートの活動を行う。

ホスピス市民塾は、友人が研修に誘ってくれたのがキッカケで入会したのですが、当時は「趣味は仕事」って言っていたくらい働いていたので、あまり参加できませんでした。定年の2年くらい前に一旦区切りをつけようと思い、仕事を減らしました。その後は、活動をする中で、色々な人との関わりが面白くなり、やりがいの1つになっています。
今は、父の最後を一緒に考えたいと思い、定期的に里帰りをしています。その際に、普段お世話になっている親戚らを招き、イベントを開いているのですが、父の喜ぶ顔を見ると、地域の居場所みたいなものを創りたいと思うようになりました。
病気で悩んでいる人や高齢者が、気楽にお茶を飲んだり、立ち寄れるような、小さなことからで良いと思っています。そう思ったのは、これからの自分自身の居場所にもなり、生きがいにもなる、そして次の世代へと繋がっていくことであると、親の姿を通して見えてきたからだと思います。

定年後の備えについて~企業内キャリアコンサルタントの視点から~

大阪ガス株式会社 人事部 キャリアデザインセンター所長の江本雅朗さんは、キャリアコンサルタントとして、社員のセカンドライフ支援に取り組まれています。大阪ガスでの取り組みを聞かせていただきながら、定年後の備えについてお聞きしました。

内的キャリアに焦点をあてる

大阪ガス株式会社では、45歳時と50代前半時の社員を対象とした研修と面談による「セカンドライフ支援」に取り組んでいます。社員が生涯にわたり幸せな生活をおくってもらうために、退職後の生活を考えるキッカケづくりを目的としています。
まず研修では、キャリアデザインの基本として、5年後10年後のなりたい自分を描いてもらい、そこから逆算して今やるべきことを考えます。特に、履歴書などに書ける資格などの外的キャリアだけでなく、仕事を通して得た価値観・働き甲斐など、内的キャリアに焦点をあてます。また、仕事だけでなく、子どもの頃から好きなこと、やりたかったこと、現在の趣味などを思い返してもらい、自分らしいキャリアプランの構築を促しています。

mustではなく気軽に考えられるように

研修後は、キャリアコンサルタントが個人面談を行います。面談者は年間で300人を超えます。多くの社員は、再雇用を選択しますが、中には転職や起業を選択する社員もおり、それぞれに合った支援制度を設けています。
仕事のように「しなければならない(must)」になると苦行になってしまうので、定年後は自分のやりたいことができるための時間として、気楽に考えられるようサポートしています。
会社員の一番弱い部分は、地域との繋がりがないことです。現役時代から、地域での活動など、まずはやってみることを勧めています。ボランティア活動も強制されるものではないので、合わなければやめることも可能です。

サードプレイスは良い意味での「逃げ場」

また、職場や自宅以外の居場所として、サードプレイスが注目されていますが、サードプレイスは良い意味での「逃げ場」だと思っています。作らないといけないものではありませんが、作っておくと、気持ちが楽になる部分もあるのではないでしょうか。私自身は、劇場の支配人を務めていた経験から、その時にできた芝居関係の繋がりが、貴重なサードプレイスとなっています。
人生二毛作・三毛作の時代を迎え、現役の時から意識を変化させ「自分」という畑を耕しておくことが必要です。

あとがき

定年後の人生には、「キョウイク(今日行くところがある)」と「キョウヨウ(今日用がある)」が大切とされています。
 内閣府「高齢者の経済・生活環境に関する調査(2016年)」では、社会的な活動をしていて良かったことについて、「新しい友人を得ることができた」「地域に安心して生活するための繋がりができた」という回答が上位にあがっていました。定年退職は、人生の引退を意味するものではありません。
ラコルタでは、地域に自分の居場所(関係性も含め)を創造し、新たな生きがいを生み出す準備を応援します。

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THEピックアップ
ラコルタの取り組みを紹介!

地域や社会とつながる最初の1歩
第6期「eNカレッジすいた」

開催日:8月23日(金)~11月30日(土)で全8回
第6期目となる「eNカレッジすいた」を開催し、14名の方が参加されました。全8回にわたる講座では、自分自身を見つめなおすことや、ボランティア活動の体験などを行いました。また、今回初めての試みとして、関心のある社会課題をテーマにした“企画づくり”をグループで取り組みました。合意形成を図る難しさと楽しさを、実感してもらえたようです。
参加者の平均年齢は53歳。今回学んだソーシャルな視点を活かしてもらいながら、これからのセカンドライフを築いていただけたらと思います。
写真:交流と学びを深めてきました
カリキュラムの一部紹介
●社会で“自分”を活かそう!
●エンパワーする人間関係をつくろう

公共空間の新しい使い方を一緒に考えよう!
みんなのSUITA DAYを考える

開催日:9月7日(土)
ラコルタでは、2020年3月に南千里駅前の公共空間を使って、「まち」と「ひと」が出会う市民参加型イベント「みんなのSUITA DAY」を開催します。「みんなのSUITA DAY」を考えるワークショップでは、イベントに欠かせないと思う要素を出し合ったり、参加者の好きなことや得意なことを掛け合わせる“妄想企画会議”を行いました。現在、参加された18名の方をはじめ、ラコルタと関わりのある市民の方に集まっていただき、本番に向けた準備を進めています。
写真:月1回、実行委員会を開催中!

テーマカフェ「おとなのひきこもりを考える」

開催日:10月24日(木)
大阪府こころの健康総合センターからゲストをお招きし、ひきこもりの定義や、40歳以上のひきこもりの方の現状、支援の事例などをうかがいました。参加者のみなさんからは「個人の問題ではなく社会の問題としてとらえていかなければいけないと感じた」「家族支援の重要性がわかった」「専門職などの支援者だけでなく、地域の住民が同じ場で考える時間を持つことが大切」という声が聞かれました。定員を大きく上回る申込みがあり、このテーマへの関心の高さがうかがえる機会となりました。
写真:たくさんの質問が出されました

編集ノート

2019年も残すところ僅かとなりました。大きな自然災害や世間を騒がせる事件が起きた一方、若い人たちが地球と人類の未来のために声を上げ、社会的なうねりとなっていった様子が記憶に残っています。2020年はどんな年になるでしょうか。自分にできることを一つずつ積み重ねていきたいです。(入江)

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