ニュースレター(HTML)

ニュースレター第31号(HTML版)2020年6月1日発行

本ページでは、ニュースレターの文字情報だけを掲載しております。
また、ニュースレターに掲載されているイベント情報は、本サイトの最新情報からご確認ください。

Be Social

私たちが暮らす地域や社会の事を他人事ではなく自分事にする。
そういった“ソーシャルな生き方”の魅力をお伝えします。

第16回 打越明美さん
「生活に密着した楽しいエコ活動を」

公益財団法人千里リサイクルプラザ
市民研究所 市民研究員
「市民とお店をエコでつなぐプロジェクトチーム」の代表として、調査研究や環境学習の支援活動に取り組む。
趣味は民謡。
吹田市資源リサイクルセンター(くるくるプラザ)

活動を始めて15年

子どもの頃から洋裁が好きで、くるくるプラザで開かれていた衣類のリフォーム講座に参加しました。
その時の先生から誘っていただいたのが、市民研究員になったきっかけです。
ボランティア活動はしたことがなかったのですが、みんなと一緒になら出来るかなと思い、気づけば15年が経ちました。

スーパーと消費者をエコで橋渡し

私が参加しているプロジェクトでは、リサイクル製品の取り扱い状況や、過剰な包装がされていないかといった、スーパーの協力を得て調査研究に取り組んでいます。
また、消費者に向けては、マイバックの普及活動をはじめ、最近では風呂敷を広めたいと思い、学校などでその魅力を伝えています。

楽しいから続けられる

活動を通じて、知らない人とも会話する機会が増えました。
人との出会いが新鮮で楽しく感じています。
また、私自身も環境のことを意識するようになりました。
例えば買い物の時に、いつもは自分の欲しいものしか見ていなかったのですが、エコ商品を選ぶようになったり、いかにプラスチックごみを少なくするか考えるようになりました。

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ここに注目!ラコルタの特集
非常時における市民社会の役割

ラコルタは日々の事業を通して、市民自らが社会の問題に対して他人事ではなく、当事者意識をもって向き合う多くの実践例に触れ、「市民力」「地域力」の限りない逞しさを感じてきました。

このような中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な広がりは、生命、健康面に脅威をもたらし、政府による緊急事態宣言に至りました。
そのことは、私たちの今までの生活や価値観をも一変させ、市民生活を支える市民公益活動の現場にも大きな混乱を生じさせました。

一方で、このような事態に応じた新たな活動も生まれ、そこには迅速で柔軟な発想を持ち寄り、困難を共に乗り切ろうという社会的なメッセージが込められています。

活動の先には必要としている人がいます。
持続可能な開発目標(SDGs)に謳う「誰一人取り残さない社会」とは、困難時に可視化されにくい「人権」をどう守るのかといった問いでもあります。
その問いを受けて、改めてこれからの社会づくりに必要な観点を考える時代に来ているのかもしれません。

新型コロナウイルス感染症に伴った市民公益活動の事例紹介

子どもとの繋がりを保障するオンライン授業

特定非営利活動法人ここでは、不登校の児童や生徒を対象とするフリースクールを、吹田市内で開設しています。
小学生から高校生まで、約40名が利用しており、通学することにより、在席校の出席日数として認められたり、高校卒業資格を取ることも可能になります。

感染予防のため、休校措置を余儀なくされましたが、事前に子どもや保護者から意見を伺い、オンライン授業のカリキュラムを新たに作成しました。
双方向のコミュニケーションを中心に、楽しんで学習できる工夫を凝らしています。

「引きこもり生活に戻ってしまうのでは…」という不安を持ったり、様々な理由で在宅が困難な子どもについては、個別の受け入れも行っています。

理事長の三科元明さんは、「教育はもとより、福祉の観点が強い事業なので、本来は毎日開ける必要があります。
せめてオンラインで子どもたちとの繋がりを維持したい」と、語ります。
写真:オンライン授業の様子
ここ

「生活者」としての外国人に寄り添う

公益財団法人とよなか国際交流協会では、臨床心理士や社会福祉士などの専門職と、英語・中国語・韓国語などの多言語スタッフが配置されており、年間1,000件前後の相談を受けています。
2018年に発生した大阪府北部地震においても、発生初日より多言語支援センターを開設し、相談対応をはじめ、多言語情報の発信や、避難所巡回などの取り組みを行ってきました。

2月下旬頃から、「PCR検査を受けたいが受けさせてもらえない」、「収入が減り、転職先を探したい」など、今回の感染症に関した相談が寄せられるようになりました。
相談件数の増加に併せて、これまで週1回実施していた多言語相談サービスを、2月末より週4回に拡充しました。

事務局次長の山本愛さんは、外国人労働者の受け入れ拡大により、在住外国人が増える一方で、外国人の相談窓口に専門職が少ないと語ります。
同協会は、そういった現状に憂い、福祉の観点を取り入れながら、在住外国人の生活ニーズに応える貴重な存在となっています。
写真:相談スタッフによる会議
とよなか国際交流協会

事業者同士の連携で子どもの「食」を守る

デザイン・印刷の請負、そして障がい者と一緒に豆腐づくりを続けてきた、ちまちま工房は、飲食店を営む事業者の方と協力し、一斉休校中に子ども用のお弁当販売に取り組みました。

箕面商工会議所を通じてその事業者を紹介され、中高生の居場所づくりの相談を受けたのが昨年の夏。
春休みを前に、子ども食堂などの取り組みを実験的にやってみようかと話を進めていたところ、COVID-19による一斉休校が要請されました。

ニュースが流れてすぐに連絡を取り合い、飲食店がお弁当を作り、ちまちま工房は広報と販売の一部を担当しました。
代表の永田千砂さんは、保護者から「助かった!」という声を聞き「困っている家庭に届けられた」と手ごたえを感じた一方、より広く周知するにあたっては行政との連携が難しかったと言います。
日常の縁から上手にコラボレーションを生み出す同団体の強みが、非常時の迅速な動きにつながりました。
※お弁当の販売は3月末で終了しています
写真:お弁当を持つ永田さん
ちまちま工房

ITを活用した公民協働の取り組み

3月4日に開設された東京都の「新型コロナ感染症対策サイト」は、一般社団法人コード・フォー・ジャパンが東京都より委託を受けて開発しました。

同サイトのプログラムは、ネット上で無料公開されており、世界中の人が開発に参加したり、複製して使用できるのが特徴です。
このことにより、制作コストや時間を削減することができ、東京都以外でも同様のサイトが各地で開設されていきました。
中には、高等専門学校の学生が中心となって開設した事例もあります。

大阪では、エンジニアやデザイナー、行政、大学関係者などが参加しているCode for OSAKAと、府のスマートシティ戦略部との協働によって開設に至りました。
Code for OSAKAは、地域の課題をITで解決する「シビックテック」の活動を行っており、これまでにも行政との協働事業に取り組んできました。
3月13日に両者で協議を行い、5日間という短期間で開設。
4月末現在で、1日25万件ほどのアクセスがあり、より多くの人に情報が伝わるよう、多言語化対応などの更新が随時行われています。
写真:対策サイトの画面(5/1時点)
大阪府の最新感染動向

非常時にこそ「考えるきっかけ」をつくりたい

認定NPO法人茨城NPOセンター・コモンズ
常務理事・事務局長 大野 覚さん

全国の自治体で催しの中止や延期が相次いだ2月下旬。
私たちの事業にも影響が出始め、何かできることはないかと考えました。

まず取り組んだのは、県内のNPOの困りごとの把握でした。
アンケート調査を実施し、報告書にまとめ、ホームページ上で公開しました※1。
一方的な情報発信に留まるのではなく、双方向のコミュニケーションが生まれるきっかけにしたいと考え、質問項目を工夫したところ、公開されたアンケート結果を見て、自分たちの意見も述べたいと回答を送ってくれた団体もありました。
また、子ども食堂の視察に訪れた地元出身の国会議員に報告書を渡し、現状を伝えることもできました。
※1「新型コロナウィルスの感染拡大への対応などに関する茨城県内の市民活動団体の意見」

次に、NPOへの支援情報をとりまとめたサイトを開設しました。
アンケート調査等で寄せられた声からも、自らの安全確保と感染拡大防止に努めながら、ふだん支援している地域の高齢者や子ども、あるいは障がい者等の状況にどう対応していくか、試行錯誤している現場の様子が伺えました。
そこで、行政の通達や各種制度の変更を紹介するだけでなく、事業の実施・継続や組織運営について自ら判断する材料となる情報を集め、わかりやすく分類して発信することを心がけました。
4月には、全国の中間支援組織やIT支援者の力を借りてサイト※2をリニューアルしています。
※2「市民活動団体のための新型コロナウイルス対応お役立ちサイト」

法人名にある「コモンズ」という言葉には、「共有地」という意味があります。
NPOとNPO、NPOと地域、そしてNPOと政策決定者をつなぐのが、中間支援と呼ばれる私たちの役割ではないでしょうか。
市民社会の土台である自発性や機動性、多様性といった価値観を大切にしながら、何をすべきか常に考え続けたいと思っています。

茨城NPOセンター・コモンズ
1998年設立。県内市民活動団体の支援、ひきこもりや生活困窮者の就労支援、外国ルーツの子どもの教育環境整備や多文化保育園の運営の他、常総市の水害や2019年台風19号の被災者支援等も行う。

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ラコルタのお知らせ

「公民協働術」を発行しました!

市民(民)と行政(公)の協働=公民協働に焦点を絞り、協働を負担に感じるのではなく、無理なく、楽しく、まちづくりを進めていくための手引きとして作成しました。
ホームページからもご覧いただけます。

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来館だけでなく、電話、メールでもご相談に応じます。

編集ノート

コロナ禍によりラコルタは臨時休館を余儀なくされ、そんな大変な状況での編集作業となりました。
みなさまの日常や市民公益活動が少しずつでも元に戻っていけばと祈るのと同時に、今、市民の力で何ができるかを考える毎日です。
本号が、何か動き出していくヒントになれば幸いです。(伊富貴)

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